大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。
本日は、掘り下げればかなり深い「正当ノ事由」についてです。
<正当ノ事由>
・借地法の規定により、借地契約は全て期間の定めのある契約であり、契約期間満了により借地契約は消滅するのが原則。期間満了後も借地権を存続させるためには、契約の更新が必要であり、借地法では、合意更新(5参照)と法定更新(4、6参照)の規定が設けられている。
・法定更新の場合、地主は異議主張できるが、この異議には「正当ノ事由」が必要である。
・借地人の更新請求は建物が存する場合にのみ法定更新され(4Ⅰ本)、この更新に対する地主の異議に「正当ノ事由」が必要(4Ⅰ但)。
・借地権消滅後の土地使用継続による法定更新(6Ⅰ1文)に対する地主の異議は、建物が存在する場合には「正当ノ事由」が必要(6Ⅱ・4Ⅰ但)であり、建物が存在しない場合には正当ノ事由は不要。
・なお、建物滅失後の再築に対する異議には正当の事由は不要(7)。→期間満了時に正当ノ事由が判断される。
・土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当の事由(4Ⅰ但)についての解釈については借地借家法に譲る。
・立退料は正当事由の補完要素であり(借家につき最判昭27・3・18)、立退料の申し出は事実審の口頭弁論終結時まで(最判平6・10・25)
・立退料と引換えに明け渡し請求を認容する判決ができる(借家につき最判昭38・3・1、最判昭46・11・25など)
・家主が申し出た立退料の額と格段の相違のない範囲内で裁判所が決定する額の立退料ならば、家主がその金額を支払う意思を表明して、その立退料の支払と引換えに家屋の立退きを求めている場合には、家主が明示した立退料の額を超える立退料の支払いと引換えに立退き要求を認容することができる(最判昭46・11・25)
・借地人が賃貸する建物の借家人の事情は、特段の事情のない限り、借地人側の事情として斟酌することは許されない(最判昭58・1・20)。→借地借家法附則14・借地借家法35により借家人は保護される。
第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
2 (省略)
3 (省略)
第6条 借地権者カ借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
2 前項ノ場合ニ於テ建物アルトキハ土地所有ハ第4条第1項但書ニ規定スル事由アルニ非サレハ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第7条 借地権ノ消滅前建物カ滅失シタル場合ニ於テ残存期間ヲ超エテ存続スヘキ建物ノ築造ニ対シ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ借地権ハ建物滅失ノ日ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年間、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年間存続ス 但シ残存期間之ヨリ長キトキハ其ノ期間ニ依ル
借地借家法附則第6条 この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。
借地借家法附則第7条 この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の滅失後の建物の築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。
2 (省略)
借地借家法附則第14条 第35条の規定は、この法律の施行前に又は施行後一年以内に借地権の存続期間が満了する場合には、適用しない。
借地借家法第35条 借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその一年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から一年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2 前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。
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