2016年5月13日金曜日

<借地借家法13>建物譲渡特約付借地権(24)

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

今回も借地借家法独自の建物譲渡特約付借地権です。

結構マニアックな制度ですね。

<建物譲渡特約付借地権>
・借地権設定後30年以上経過したときに地主が相当の対価で借地上の建物の譲渡を受けることにより消滅する借地権(24Ⅰ)

・借地権は普通借地権でも定期借地権でも事業用定期借地権でもよい。

・特約は期限付き売買や売買予約などが考えられる。

・相当の対価は、譲渡時の建物の時価をいい、建物価格に場所的利益を考慮したものと考えられる。→cf.建物買取請求権行使時の建物の時価

・権利保全のためには、所有権移転仮登記又は所有権移転請求権仮登記が必要。

・地主が建物を譲り受けると借地権は消滅し、借地人は建物明渡義務を負う。また、建物賃借人がいる場合であっても、前記の仮登記の存在により借家人は建物賃借権を対抗できず、建物明渡義務を負うのが原則。

・しかしながら、これら建物の使用を継続している者と建物譲受人である地主との間には、法律上当然に期間の定めのない(借地権者が請求した場合で借地権の残存期間があるときはその残存期間)建物賃貸借契約が成立する(法定借家権、24Ⅱ前)。当事者の合意で定期建物賃貸借にすることもできる(24Ⅲ)。賃料は当事者の合意によるが合意が成立しないときは裁判所が定める(24Ⅱ後)。

・建物が30年以上の期間が経過する前に滅失した場合、建物譲渡による借地権の消滅はないが、基本借地権が普通借地権であれば存続期間満了により借地権消滅(5)、定期借地も同様。

・30年以上経過後地主が譲渡を受ける前に建物が滅失した場合も前述と同様。

・仮登記をせずに建物が他人名義となっている場合、建物譲渡は不可能であり、通常の借地権の終了と同様になる。

実際にどういう契約内容になるのか、マニアック過ぎてイメージが湧きません。

第24条  借地権を設定する場合(前条第2項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第9条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2  前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3  第1項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第38条第1項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

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2016年5月12日木曜日

<借地借家法12>事業用定期借地権等(23)

大阪の司法書士の伊東です。

私はなかなかお目にかかることがない事業用定期借地権等です。

<事業用定期借地権等>
・事業用定期借地権等とは、事業用定期借地権(23Ⅰ)と事業用借地権(23Ⅱ)のこと。

・借地借家法施行当初は、事業用借地権のみであったが、改正により平成20年1月1日から上記2つとなり、事業用借地権の存続期間は10年以上20年以下から10年以上30年未満に改正された。

・専ら事業の用に供する建物所有を目的とする(「専ら」であるから住居部分を併設した建物は除かれる。)。

・ともに公正証書によることが必要(23Ⅲ→定期借地契約は公正証書によらずとも書面であればよい。)。

・存続期間は、事業用定期借地権が30年以上50年未満(23Ⅰ)、事業用借地権が10年以上30年未満(23Ⅱ)。

・事業用定期借地権は、①契約の更新がないこと、②建物再築による存続期間の延長がないこと、③建物買取請求権を行使しないことを定めることができる。これに対し、事業用借地権は、前記①②③のいずれも法律上当然に認められる。

・契約期間が終了すれば、借地人は、土地上の建物その他の工作物を収去して、土地を原状に復して地主に返還する義務を負う。

第23条  専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2  専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
3  前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

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2016年5月11日水曜日

<借地借家法11>定期借地権(22、35)

大阪の司法書士の伊東です。

今回は、借地法にはなかった借地借家法で新設された契約更新のない定期借地権のお話しです。

<定期借地権>
・要件
(1)存続期間50年以上の借地権の設定
(2)①契約の更新がない、②建物が再築されても期間の延長がない、③期間満了時の建物買取請求をしない、という3つの特約
(3)書面によること

・期間満了により当然に借地契約終了。

・定期借地権を設定したこと自体が民619条の推定を覆す事情といえるが、念のため特約でこれを排除しておくことが無難。

・借地上の建物に借家人がいる場合(通常は、借地契約の存続期間に合わせて定期借家契約又は取壊予定の借家契約をしているであろうが、そうでない場合)、借地権の存続期間が満了することを1年前までに知らなかった借家人は、裁判所に請求することで、知った日から1年を超えない範囲内で、土地の明け渡しが猶予され(35Ⅰ)、猶予期間満了により建物賃貸借は終了(35Ⅱ)

・なお、既存借地権から定期借地権への更改契約は、借地人に不利な契約であり無効と解される(借地法9?「どんな場合にいくら払う!?立退料の決め方第3版」p.194)。

第22条  存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
民法第619条 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。
2 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。
第35条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。


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2016年5月10日火曜日

<借地借家法10>地代等の増減請求(11)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、本日は地代等の増減請求についてです。

旧法の契約にも遡及適用されますので、しっかり見ていきましょう。

<地代又は借賃の増減請求(11)>
・地代又は土地の借賃(以下地代等)の額は当事者の合意により決まる。←昭和21年までは地代家賃統制令あり。

・①租税その他公課の変動、②土地の価格の変動、③その他の経済事情の変動、④近傍類似の土地の地代等との比較により不相当となった場合、地代等の増減額請求権(11Ⅰ)

・①は地代等に占める必要経費等に着目し、 ②は土地の元本としての価格に着目し、③はその他の経済的要因に着目し、④は比較要因に着目するものである。

・その他経済事情の変動がどの程度地代等の変動に影響を与えてるのかの理論的解明はなされていない(実務解説借地借家法)。

・不動産鑑定評価基準に定める継続賃料の鑑定評価手法を基準とする。

・一定期間地代等の増額をしない旨の定めは有効(11Ⅰ但)。減額しない旨の定めあっても減額請求できる(大判昭13・11・1)。

・地代等自動改定特約は、その改定基準が11条に規定する経済事情の変動等を示す指標に基づく相当なものであれば有効(最判平15・6・12)。

・地主から増額請求あった場合、裁判確定までは借地人自ら相当と認める額を支払えば足りる(11Ⅱ)。逆に借地人が減額請求した場合、裁判確定までは地主が相当と認める額を支払う(11Ⅲ)。

・調停前置(民調24の2)

第11条  地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下そ の他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額 の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払う ことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付し てこれを支払わなければならない。
3  地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を 請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合 による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
民事調停法第24条の2  借地借家法第11条 の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第32条 の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。
2  前項の事件について調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、受訴裁判所は、その事件を調停に付さなければならない。ただし、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。 

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2016年5月9日月曜日

<借地借家法9>借地条件変更等(8、17、18、附則7Ⅱ、10、11)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、どんどん進めましょう。

<借地条件変更等>
・どのような種類、構造の建物を築造するか、建物の増改築は借地人が自由に決められるのが原則。もっとも、建物の種類、構造、規模、用途、増改築を制限する旨の特約は有効であり、これと異なる建物を築造したり、増改築する場合には、地主の承諾が必要となる。承諾ない場合は、債務不履行解除されるおそれがある。

・また、契約更新後に地主の承諾を得ないで残存期間を超えて存続する建物を築造した場合、解約申入れ事由となる(8Ⅱ)→新法施行後の契約の場合のみ(附則7Ⅱ)

・これらの場合、借地条件変更の裁判(17Ⅰ)、増改築許可の裁判(17Ⅱ)、契約更新後の存続期間を超える建物築造許可の裁判(18)。→18については新法施行後の契約についてのみ(附則11)

・承諾量の目安は、借地条件変更の場合、更地価格の10~15%、増改築許可の場合、更地価格の3~5%

第8条  契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
2  前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
3  前二項の場合においては、借地権は、地上権の放棄若しくは消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から三月を経過することによって消滅する。
4  第一項に規定する地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利は、第二項に規定する地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利を制限する場合に限り、制限することができる。
5  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第二項の規定を適用する。
第17条  建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。
2  増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
3  裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
4  裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。
5  転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができる。
6  裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
第18条  契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、延長すべき借地権の期間として第7条第1項の規定による期間と異なる期間を定め、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
2  裁判所は、前項の裁判をするには、建物の状況、建物の滅失があった場合には滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。)が土地の使用を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
3  前条第5項及び第6項の規定は、第1項の裁判をする場合に準用する。
附則第7条  (省略)
2  第8条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。
附則第10条  この法律の施行前にした申立てに係る借地条件の変更の事件については、なお従前の例による。
附則第11条  第18条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。


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2016年5月8日日曜日

<借地借家法8>借地権の譲渡・転貸(14、19、20)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

借地権の譲渡・転貸に関しては、旧法時代の借地契約の場合も借地借家法が適用されますので、こちらでしっかり理解しましょう。

<借地権の譲渡・転貸>
・借地権が地上権であれば譲渡・転貸に地主の承諾不要。

・借地権が土地賃借権であれば地主の承諾必要(民612Ⅰ)。承諾ないことは土地賃借権の解除原因(民612Ⅱ)。

・承諾なければ地主に対し効力がなく、解除しなくても譲受人・転借人に建物収去土地明渡請求できる(最判昭26・5・31)。

・借地上の建物の譲渡により当然に借地権の譲渡・転貸となる(民87Ⅱ参照)。

・建物の譲渡・転貸の場合に限り、代諾許可の裁判(19Ⅰ)。

・承諾料(19Ⅰ)は借地権価格の10%前後が目安。

・この裁判中に地主の建物優先買受けの申立をすることができる(19Ⅲ)。

・承諾ない場合、建物収去・土地明渡が原則のところ、譲受人・転借人による建物買取請求権(14)。この建物買取請求権の性質、内容等は契約更新されない場合の建物買取請求権(13)と同様。

・転々譲渡されている場合は、最後の譲受人が建物買取請求権を有する(大判昭9・4・24)

・競売又は公売の場合、2ヶ月以内に代諾許可の裁判を申し立てないと借地権を地主に対抗できない(20Ⅲ)。

民法第612条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
第14条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
第19条  借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
2  裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
3  第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。
4  前項の申立ては、第1項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。
5  第3項の裁判があった後は、第1項又は第3項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。
6  裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項又は第3項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
7  前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。
第20条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。
2  前条第二項から第六項までの規定は、前項の申立てがあった場合に準用する。
3  第一項の申立ては、建物の代金を支払った後2月以内に限り、することができる。
4  民事調停法第19条の規定は、同条に規定する期間内に第1項の申立てをした場合に準用する。
5  前各項の規定は、転借地権者から競売又は公売により建物を取得した第三者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第2項において準用する前条第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

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2016年5月7日土曜日

<借地借家法7>普通借地権が契約更新されない場合の建物買取請求権(13、附則9)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

本日は借地契約に特有の建物買取請求権についてみていきましょう。

<契約更新されない場合の建物買取請求権(13)>
・借地権の存続期間が満了し、契約が合意更新されず、法定更新(5、6)もされない場合、、借地権は期間満了により消滅する。この場合、建物収去・土地明渡(民269、616・598)が原則のところ、建物買取請求権が認められている(13Ⅰ)。

・地主への意思表示で当然に売買契約が成立し、所有権移転義務と代金支払義務は同時履行(大判昭7・1・26)。→代金支払いまでは借地人は建物の引き渡しを拒むことができるが、地主に対し賃料相当損害金を支払わなければならない(最判昭35・9・20)。

・地主の承諾を得ないで借地権の存続期間を超えて存続する建物を築造した場合、裁判所は、建物買取代金の支払いに相当の期限を付与することができる(13Ⅱ)→借地法にはなかった規定であり、旧法時代の借地契約には遡及適用されない(附則9Ⅰ)。

・建物収去土地明渡認容判決確定後においても請求可(最判昭52・6・20)←時機に遅れたものではない。

・借地権消滅後10年で時効(最判昭42・7・20)

・借地権消滅後の建物買受人は建物買取請求権を有さない(大判昭16・6・20)

・建物の時価とは、建物が現存するままの状態における価格をいい、借地権価格は含まれないため、一般の建物価格に比べ低額となる。もっとも、建物の存在する場所的環境(裁判実務上借地権価格の20~30%)は参酌される(最判昭35・12・20)

・建物に抵当権が設定されていても建物の時価は減額されるべきではない(最判昭39・2・4)

・建物の時価の算定に当たっては、建物賃貸借の存在は当然に考慮される。

民法第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。
民法第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
第13条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。

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2016年5月6日金曜日

<借地借家法6>普通借地権の正当の事由(4~6、28、35)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

正当の事由については、かなり深い論点で、また借地契約と借家契約で異なる部分もあるので混同しないで理解する必要がありますね。

<正当の事由(普通借地権)>
・借地借家法の規定により、借地契約は全て期間の定めのある契約となるため、契約期間満了により借地契約は消滅するのが原則である。期間満了後も借地権を存続させるためには、契約の更新が必要であり、借地借家法では、合意更新(4)と法定更新(5)の規定が設けられている。

・法定更新の場合、地主は異議主張(5Ⅰ・Ⅱ)できるが、この異議には「正当の事由」が必要である(6)。

・借地法では、「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当の事由」とされていたが、借地借家法では、「借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由の有無を判断するものとされた。
 すなわち、正当の事由は、まず、地主だけではなく借地人の土地の使用の必要性を考慮するほか、借地に関する従前の経過(契約締結の経緯、借地人の債務の履行状況、当事者間の信頼関係等)、土地の利用状況(借地全体に対する建物の敷地面積の割合の程度、建物の残存耐用年数等建物の状況、建物の再築の可能性の有無・程度等)並びに地主が申出た立退料等を考慮して、正当の事由の有無を判断するものとされた。

・立退料の申し出は事実審の口頭弁論終結時まで(最判平6・10・25)

・立退料と引換えに明け渡し請求を認容する判決ができる(借家につき最判昭38・3・1、最判昭46・11・25など)

・家主が申し出た立退料の額と格段の相違のない範囲内で裁判所が決定する額の立退料ならば、家主がその金額を支払う意思を表明して、その立退料の支払と引換えに家屋の立退きを求めている場合には、家主が明示した立退料の額を超える立退料の支払いと引換えに立退き要求を認容することができる(最判昭46・11・25)

・借地人が賃貸する建物の借家人の事情は、特段の事情のない限り、借地人側の事情として斟酌することは許されない(最判昭58・1・20)→借地上の建物の賃借人は、35により保護される。

<正当の事由(借家権)>
・一方、借家契約は期間の定めのある契約と期間の定めのない契約がある。(→未脱稿)


第4条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第5条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
第6条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

第35条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。


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2016年5月5日木曜日

<借地借家法5>普通借地権の契約の更新(4~6、13)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さてさて、借地法の記事との整合性、見易さなどを考えながら更新しています。それゆえ、なかなか先に進めません。

 <契約の更新>
・期間の定めのある賃借権は、契約により留保している解約権を行使した場合や(民618)、土地の滅失(履行不能)、債務不履行による契約解除、合意による解約などにより終了するが、それ以外の場合には借地権は期間の満了により消滅するのが原則。そして、期間満了後に借地権を存続させるには更新が必要となる。

・民法では合意更新(民604Ⅱ参照、もっとも借地借家法は民604不適用(同法29Ⅱ)。)および法定更新(619Ⅰ、なお使用及び「収益」を継続した場合)であるが、借地借家法では、当事者の合意更新(4)と法定更新(5)がある。

・法定更新には、①借地人の請求による法定更新(5Ⅰ)及び②土地の継続使用による法定更新(5Ⅱ)があるが、ともに建物がある場合に限られる(借地法はこれと若干異なる。)

・法定更新の異議には正当事由が必要(6)。

・最初の法定更新では存続期間20年、その後の法定更新では存続期間10年となる(5Ⅰ・Ⅱ・4本)が、これより長い期間を定めることもできる(5Ⅰ・Ⅱ・4但)。

・契約期間が満了し更新されない時は建物買取請求権行使可(13Ⅰ)(借地法上の建物買取請求権)

民法第604条  (省略)
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。
民法第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
民法第619条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。
2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。
第4条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第5条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
第6条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
第13条  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。

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2016年5月4日水曜日

<借地借家法4>普通借地権の存続期間(3、4、7、8、附則5~7)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、今日は借地借家法の普通借地権の存続期間について見ていきましょう。

<存続期間>
・普通借地権とは、借地借家法施行後に設定された建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権で法定更新のある借地権(cf.1、2①)。

・法定存続期間は30年(3本、借地法では、堅固60年、非堅固30年(借地法2Ⅰ本))。但し、これより長い期間を定めたときはその期間(3但、借地法では堅固30年以上、非堅固20年以上の期間を定めたときはその期間(借地法2Ⅱ))。

・契約更新後の最初の法定存続期間20年、2回目以降は10年。但し、これより長い期間を定めたときはその期間(4、借地法では、堅固30年、非堅固20年。合意更新の場合にはこれより長い期間も可であるが法定更新の場合は法定存続期間のみ)。

・建物滅失しても借地契約は消滅せず、また、借地人は、土地所有者の承諾なく自由に建物を再築できるのが原則。

・もっとも、建物の種類、構造、規模、用途について借地条件が定められている場合に、これと異なる建物を再築するには地主の同意必要である。

・また、増改築制限特約ある場合は、再築には地主の承諾必要である。

・最初の存続期間中に建物滅失した場合において、存続期間を超えて存続する建物を再築したときは、地主の承諾あれば、承諾のあった日又は建物が再築された日のいずれか早い日から20年間(これより長い期間の合意も可)存続期間が伸長する(7Ⅰ、借地法の場合は地主は遅滞なく異議を述べなければならない) 。最初の存続期間であれば、借地人の通知を受けて2ヶ月以内に地主の異議なければ承諾みなし(7Ⅱ)。

・建物の滅失とは、自然的であっても人工的であっても、また、借地人が任意に取り壊したか否かにかかわらず、建物が滅失した場合の一切の場合をいう(最判昭38・5・21)。

・再築にあたり、存続期間を超えて存続する建物を建築しない旨の特約は無効(最判昭33・1・23)。

・(法定更新に限らず)契約更新後の建物滅失の場合、借地人から解約申入れできる(8Ⅰ)。また、契約更新後に承諾なく残存期間を超える建物を再築したときは、承諾みなし(7Ⅱ)の適用はなく、地主は解約申入れできる(8Ⅱ)。解約申し入れ後3ヶ月経過で借地権は当然に消滅(8Ⅲ、解約申入れに正当事由は不要)。

・なお、建物の朽廃による借地権消滅制度は借地借家法施行後の借地契約には適用されません(附則5反対解釈、建物の朽廃による借地権の消滅)。

・7、8条は遡及しない(附則7)。


第3条  借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第4条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第7条  借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。
2  借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後2月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。ただし、契約の更新の後(同項の規定により借地権の存続期間が延長された場合にあっては、借地権の当初の存続期間が満了すべき日の後。次条及び第18条において同じ。)に通知があった場合においては、この限りでない。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第一項の規定を適用する。
第8条  契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
2  前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
3  前二項の場合においては、借地権は、地上権の放棄若しくは消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から三月を経過することによって消滅する。
4  第一項に規定する地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利は、第二項に規定する地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利を制限する場合に限り、制限することができる。
5  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第二項の規定を適用する。
附則第5条  この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による。
附則第6条  この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による
附則第7条  この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の滅失後の建物の築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。
2  第8条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。


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2016年5月3日火曜日

<借地借家法3>普通借地権の対抗力(10)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

借地借家法では建物滅失の際の対抗方法の規定が新設され、旧法の借地契約であっても法施行後の滅失の場合に適用されます(法附則8反対解釈)。

<借地権の対抗力>
・地上権、賃借権は登記をすれば第三者に対抗できる(民177、605)が、賃借権には登記請求権がない(大判大10・7・11)。→建物の登記があれば借地権を第三者に対抗できるとした(10Ⅰ)。

・建物の登記は表示登記で足りる(最判昭50・2・13)

・建物滅失した場合、建物の登記の効力失われ、対抗力は認められなくなるのが原則である。もっとも、借地人が借地上の見やすい場所に、滅失した建物の表示などその建物を特定するのに必要な事項などを掲示すれば、建物が滅失した日から2年間に限り、借地権を対抗することができる(10Ⅱ、なお、旧法下の借地権につき附則8反対)

・10Ⅰの対抗要件を備えていても、借地上建物の競落人は、借地権の譲渡を土地所有者に対抗できない(大判昭7・3・7)。

民法第177条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

民法第605条  不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
第10条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
3  (省略)
4  (省略)

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2016年5月2日月曜日

<借地借家法2>借地権の対象(1、25)

<借地借家法における借地権の対象>
・借地権は、借地法と同じく、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権を対象とし(1)、使用貸借には適用されない。例えば、土地の使用借人が土地の公租公課を負担していても(建物の使用借人が建物の公租公課を負担していても)、使用貸借契約であり、借地借家法は適用されない(民595Ⅰ参照)。

・借家権は、借家法と同じく、建物の賃貸借を対象とし(1)、使用貸借には適用されない。

・1条前段にいう建物は、表示登記できるほどのものには限られないが、少なくとも土台、柱、屋根、周壁が存し、社会的経済的効用を有する土地に定着する構造物である必要があり、船、キャンピングカー、テント、堀建小屋、コンテナを積み上げた倉庫などは建物にあたらない(実務解説借地借家法p.21)。

・借地権は、建物所有を目的とすればよく、現に建物が存する必要はないが(1、なお借地法1も同様)、建物が存しない場合、対抗力(10Ⅰ)や更新(5)等の点で借地人に不利となる。

・一時使用の借地権の場合、借地借家法の第2章借地のうちの一部の規定が不適用(25、なお借地法も一部不適用(借地法9))。具体的には、借地権の存続期間や更新に関する規定(3~8、13、17、18)及び定期借地権等(22~24)の規定。

第1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
民法第595条  借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
2  (略)
第25条  第3条から第8条まで、第13条、第17条、第18条及び第22条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。

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2016年5月1日日曜日

<借地借家法1>定義(2)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

今日からようやく借地借家法の解説です。

それでは、まずは定義規定、からです。

<借地借家法の定義>
・借地法では借地権のみ定義されていますが(借地法1)、借地権以外の借地関係の用語についても定義規定が置かれています(2)。

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 1 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
 2 借地権者 借地権を有する者をいう。
 3 借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。
 4 転借地権 建物の所有を目的とする土地の賃借権で借地権者が設定しているものをいう。
 5 転借地権者 転借地権を有する者をいう。

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