2016年7月17日日曜日

<借地借家法29>定期借家の賃料改定

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

定期借家がもう少し続きます。

<定期借家の賃料改定>
・定期借家は賃料増減請求権(32)を排除し、賃料減額請求しない旨の特約も有効(38Ⅶ、なお普通借家において、賃料減額しない旨の特約は無効(借家法7条につき最判昭31・5・15))。

第32条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。
5  第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。
6  前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

〒561-0829
大阪府豊中市千成町三丁目9番1号
伊東司法書士事務所
司法書士 伊東弘嗣
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2016年7月16日土曜日

<借地借家法28>定期借家の中途解約(38Ⅴ、Ⅵ)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて今日も定期借家についてみていきましょう。

<定期借家の中途解約>
・中途解約権が留保されている場合であっても、賃貸人が中途解約権を行使することはできない(30)。他方、賃借人からは中途解約権を行使できる(普通借家も同様)。

・定期借家の場合には、賃借人の中途解約を制限する場合も多いと考えられる。そこで、居住用建物賃貸借でかつ床面積200㎡未満の場合、やむを得ない事情により賃借人が建物を生活の本拠として使用することが困難となった時は、いつでも解約の申入れをすることができ、解約申入れの日から1か月経過により建物賃貸借は終了する。(38Ⅴ)

・この規定に反する特約で、賃借人に不利な規定は無効(38Ⅵ)。

第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。
5  第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。
6  前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

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2016年7月15日金曜日

<借地借家法27>定期借家の存続期間

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

定期借家について続けてみていきましょう。

ここのところ、この定期借家を廃止しようとする流れと、有効に利用しようとする流れと両方あるようですが、さてどっちの潮目がより強くなるか、今後の動向に注意が必要です。

<定期借家の存続期間>
・短期制限なし(38Ⅰ後段)。なお、建物賃貸借契約に長期制限ないから(29Ⅱ・
604))、定期借家につても長期制限なし。

第29条  期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
2 民法第604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。
第30条  この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。
5  第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6  前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第32条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

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2016年7月14日木曜日

<借地借家法26>定期借家契約の設定(38)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、定期借家契約について進めましょう。

<定期借家契約の設定>
・契約の更新がないことととする旨を定めた書面による契約(38Ⅰ)

・賃貸人は、あらかじめ賃借人に対し、契約の更新がなく期間の満了により終了する旨の書面を交付して説明しなければならない(38Ⅱ)。

・この説明がないと、契約の更新がない旨の契約書の定めは無効(38Ⅲ)。

・宅地建物取引士による重要事項説明がなされても、賃貸人からの説明がないと特約の効力は認められないことに注意。


第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。
5  第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6  前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第32条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

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2016年7月13日水曜日

<借地借家法25>定期建物賃貸借とは(38)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

それでは、本日は定期建物賃貸借についてです。

これは、借地借家法になってから規定されたものです。

<定期借家契約とは>
・期間が満了すると契約の更新なく確定的に終了する建物賃貸借契約のこと(38Ⅰ)。

・借地借家法制定当時は、賃貸人の不在期間の建物賃貸借として、賃貸人が生活の本拠としてしてた建物について、転勤、療養、親族の介護等のため、一時的に不在となる期間について、期間を定めて賃貸し、期間の満了により契約の更新なく終了するものであったが、平成11年良質な賃貸住宅等の供給に関する特別措置法による改正(平成13年3月1日施行)で現在の形になった。

・従前の普通借家権を定期借家権に契約を更改することは、居住用借家については、当分の間できない(特別措置法附則3)。

第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。
5  第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6  前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第32条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
特別措置法附則第3条 第5条の規定の施行前にされた居住の用に供する建物の賃貸借(旧法第38条第1項の規定による賃貸借を除く。)の当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同一の建物を目的とする賃貸借をする場合には、当分の間、第5条の規定による改正後の借地借家法第38条の規定は、適用しない。

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2016年7月11日月曜日

<借地借家法24>借地上の建物の賃借人の保護(35)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

今回は、借地借家法でのみ規定されているものです(そもそも定期借地権等が借地借家法になって規定されているものですから、当然ですが。)。

<借地上の建物の賃借人の保護>
・定期借地権等の借地権の存続期間の満了によって借地契約が終了すると、借地人は建物を収去して土地を明け渡すことになる。この場合、建物の賃貸借も履行不能となり契約は終了する。

・突然建物の明渡しを請求される建物賃借人を保護するため、借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合は、賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、相当の期間、土地の明渡を猶予するよう裁判所に請求できる(35Ⅰ)。

・裁判所が猶予した期限が到来すると建物賃貸借は当然に終了する(35Ⅱ)。

第35条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。

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2016年7月10日日曜日

<借地借家法23>建物転借人の保護(26Ⅲ、27Ⅱ、34、借家法4)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

今日は、建物転借人の保護の規定についてみていきましょう。

<建物転借人の保護>
・賃借人と賃貸人の間の建物賃貸借契約が終了すると、転借人は転借契約を賃貸人には対抗できないのが原則。

・もっとも、建物賃貸借契約が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、賃貸人が契約が終了することを転借人に通知しないと、契約の終了を転借人に対抗できない(34Ⅰ)。

・賃貸人が通知をすると、通知がなされてから6か月を経過したときに転貸借は終了(34Ⅱ)。

・この場合でも、賃貸借契約終了後、転借人が建物の使用を継続しているときは、賃借人が建物の使用を継続しているものとみなされ、賃貸人が遅滞なく異議を述べないと、転貸借契約は法定更新されたことになる(26Ⅲ、27Ⅱ・26Ⅲ)。この異議には正当の事由が必要(28括弧書)。→借家法には同様の規定なし。

第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
第27条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
2  前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
第34条  建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
2  建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から6月を経過することによって終了する。
借家法第4条 賃貸借ノ期間満了又ハ解約申入ニ因リテ終了スヘキ転貸借アル場合ニ於テ賃貸借カ終了スヘキトキハ賃貸人ハ転借人ニ対シ其ノ旨ノ通知ヲ為スニ非サレハ其ノ終了ヲ以テ転借人ニ対抗スルコトヲ得ス
2 賃貸人カ前項ノ通知ヲ為シタルトキハ転貸借ハ其ノ通知ノ後6月ヲ経過スルニ因リテ終了ス

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2016年7月9日土曜日

<借地借家法22>造作買取請求(33、借家法5、11)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、造作(ぞうさく)買取請求についてみていきましょう。

<造作買取請求>
・建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した造作及び建物の賃貸人から買い受けた造作は、賃貸借契約が期間の満了又は解約申入れにより終了するときは、賃借人は賃貸人に対し、これら造作を時価で買い取るべきことを請求することができる(33Ⅰ)。

・造作とは、建物に付加された物件で、賃借人の所有に属し、かつ、建物の使用に客観的に便益を与えるものをいい、賃借人がその建物を特殊の目的に使用するために、特に付加した設備を含まない(最判昭29・3・11)。また、無形造作である老舗は含まない(大判昭15・11・27)。

・形成権の一種であり、賃借人が買取請求をすると賃貸人と賃借人の間に売買契約が成立したのと同様の効果が生ずる(大判昭2・12・27)。

・買取の時価は、建物に付加したままの状態で、造作自体の本来有する価格(大判大15・1・29)。

・借家法では強行規定であった(借家11・5)。借地法時代の契約における造作買取請求を排除する特約は無効(附則4)であるが、借地法時代の契約であっても借地借家法施行後に締結された造作買取請求権の行使を制限する旨の特約は有効(実務解説借地借家法p.49)。

・造作代金と建物の明渡について、同時履行の抗弁権の行使も留置権の行使も認められない(同時履行の抗弁権につき最判昭29・7・22、留置権につき最判昭29・1・14)。

第33条  建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2  前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
借家法第5条 賃貸任ノ同意ヲ得テ建物ニ附加シタル畳、建具其ノ他ノ造作アルトキハ賃借人ハ賃貸借終了ノ場合ニ於テ其ノ際ニ於ケル賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ其ノ造作ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
賃貸人ヨリ買受ケタル造作ニ付亦同シ

借家法第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス

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2016年7月8日金曜日

<借地借家法21>普通借家契約終了後の原状回復義務と敷金返還請求

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さあ、続けていきましょう。

<原状回復義務>
・賃貸借契約終了により建物を返還する場合、これを原状に復して返還しなければならない(民616・597)。

・「原状に復」するとは、賃貸借開始の状態に戻すということではなく、賃貸借の目的、用途にしたがって通常の使用をした場合を前提として、その状態を超える損耗を復旧、修復することをいう。

<敷金返還請求>
・賃貸借契約が終了すると、賃借人は賃貸人に敷金返還請求権を有し、賃貸人は敷金から未払賃料や原状回復費用等の賃借人の債務を差し引いた残額を賃借人に返還する義務を負う。

・敷引特約は有効であるが、当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無及びその学等に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法10条により無効となる(最判平23・3・24)。

・天災地変により建物賃貸借が終了した場合には、敷引特約の効力は認められない(最判昭10・9・3)。


民第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
民第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。

2016年7月7日木曜日

<借地借家法20>普通借家権の消滅(30、借家6)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さあ、今日も頑張りましょう

<普通借家権の消滅事由>
・期間の定めのある賃借権契約は、期間の満了により消滅するのが原則であるが、普通借家契約は賃貸人から所定の更新拒絶の通知があれば期間満了により終了する(26Ⅰ)。

・一方、期間の定めのない場合、解約申入れから3か月経過することにより消滅するのが原則であるが(民617Ⅰ②)、普通借家契約は賃貸人からの解約申入れがあってから6か月を経過したときに消滅する(27Ⅰ)。

・もっとも、これら更新拒絶の通知および解約申入れには正当の事由が必要(28)。

・これらの他、建物の滅失(履行不能)、債務不履行による契約解除、合意による解約などにより消滅する。

・存続期間の定めのある賃貸借契約で、契約により中途解約権を留保(民618)している場合であっても、賃貸人がこれを行使することはできない(30)。他方、賃借人がこれを行使することはできる。

・中途解約権留保条項がない場合であっても、慣行に基づいて一定の損害金を支払うことにより、もしくは借地借家法38条5項を類推適用することにより賃借人からは中途解約できる場合があると解する(「実務解説借地借家法」p.47)。

民第617条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 1年
二  建物の賃貸借 3箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 1日
2  (省略)
民第618条  当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
第27条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
2  前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
第30条  この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2  (省略)
3  (省略)
4  (省略)
5  第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。
6  (省略)
7  (省略)
借家法第6条 前7条ノ規定ニ反スル特約ニシテ賃借人ニ不利ナルモノハ之ヲ為ササルモノト看做ス


〒561-0829
大阪府豊中市千成町三丁目9番1号
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2016年7月6日水曜日

<借地借家法19>賃貸人・賃借人の地位の移転(36、借家法7ノ2))

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

では、続けましょう。

<賃貸人の地位の移転>
・所有者が賃貸人である場合、建物所有権が移転すると、賃貸人の地位もこれに伴って新所有者に承継されるのが原則(∵新所有者と賃借人の関係は、対抗関係。)。

・建物所有権が移転しても、登記がなければ新所有者は賃貸人の地位を賃借人に対抗できない(最判昭49・3・19)。

・建物所有権の移転及び賃貸人の地位の移転には、賃借人の承諾(民467Ⅰ参照)は不要。

・この場合、敷金は、未払賃料に当然に充当され、残額が新賃貸人に承継される(最判昭44・7・17)。

・賃貸人が死亡した場合、建物の相続人または受遺者が賃貸人の地位を承継する。

<賃借人の地位の移転>
・賃借人の地位の移転には、これを可能とする特約(譲渡権利付建物賃貸借)がない限り、賃貸人の承諾が必要であり、承諾なければ賃貸人に対して効力を生じない(民612Ⅰ)。承諾ない場合は、解除原因となる(民612Ⅱ)。

・賃借人が死亡した場合、相続人または受遺者が賃借人の地位を承継する(最高裁:昭和36年12月22日、最高裁:昭和42年4月28日)。←使用貸借の場合は終了する(民599)こととの違い。

・居住用建物の賃借人が相続人なくして死亡した場合、内縁の夫婦関係又は事実上の養親子関係にあった同居者は、他に相続人がいない場合のみ、賃借人の権利義務を承継し(36Ⅰ本)、敷金返還請求権や未払賃料支払債務など建物賃貸借関係に基づき生じた債権、債務は賃借人の権利義務を承継した同居者に帰属する(36Ⅱ)。

・賃借人に相続人がいないことを知った時から1か月以内に反対の意思を表示したときは、承継されない(36Ⅰ但)。この場合、賃貸人と新たな賃貸借契約を締結しない限り、同居人は建物明渡義務を負う。

民法第612条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
第36条  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2  前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。
借家法第7条ノ2 居住ノ用ニ供スル建物ノ賃借人ガ相続人ナクシテ死亡シタル場合ニ於テ其ノ当時婚姻又ハ縁組ノ届出ヲ為ササルモ賃借人ト事実上夫婦又ハ親子ト同様ノ関係ニ在リタル同居者アルトキハ其ノ者ハ賃借人ノ権利義務ヲ承継ス 但シ相続人ナクシテ死亡シタルコトヲ知リタル後1月内ニ賃貸人ニ対シ反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
2 前項本文ノ場合ニ於テハ建物ノ賃貸借関係ニ基キ生ジタル債権又ハ債務ハ同項ノ規定ニ依リ賃借人ノ権利義務ヲ承継シタル者ニ帰属ス

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2016年7月5日火曜日

<借地借家法18>普通借家権の更新拒絶等の際の正当事由(28、借家法1ノ2)、

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、続けていきましょう。

<普通借家権の更新拒絶等の際の正当事由>
・普通借家権の更新拒絶の通知(26Ⅰ)や解約申入れ(27Ⅰ)には正当の事由が必要(28)。

・正当の事由の有無は、①「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情」のほか、②契約の解除に至らない程度の債務不履行の存在などの「建物の賃貸借に関する従前の経過」、③建物の利用状況④維持修繕に多額の費用を要する状態にあるなどの「建物の現況」、⑤代替建物の提供の申出や立退料の提供の申出などの「建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出」などの事情を総合的に比較考慮して判断される(大判昭15・9・18)

・正当の事由は、必ずしも解約申入時に存在する必要はなく、訴訟継続中に正当事由が充足すれば、その時から6か月経過すると借家権は消滅する(最判昭41・11・10)。

第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
第27条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
2  前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
借家法第1条ノ2 建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス
借家法第2条 当事者カ賃貸借ノ期間ヲ定メタル場合ニ於テ当事者カ期間満了前6月乃至1年内ニ相手方ニ対シ更新拒絶ノ通知又ハ条件ヲ変更スルニ非サレハ更新セサル旨ノ通知ヲ為ササルトキハ期間満了ノ際前賃貸借ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ賃貸借ヲ為シタルモノト看做ス
2 前項ノ通知ヲ為シタル場合ト雖モ期間満了ノ後賃借人カ建物ノ使用又ハ収益ヲ継続スル場合ニ於テ賃貸人カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキ亦前項ニ同シ
借家法第3条 賃貸人ノ解約申入ハ6月前ニ之ヲ為スコトヲ要ス
2 前条第2項ノ規定ハ賃貸借カ解約申入ニ因リテ終了シタル場合ニ之ヲ準用ス

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2016年7月4日月曜日

<借地借家法17>普通借家契約の更新(26~28、34、借家1ノ2~4)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、続けて契約の更新についてみていきましょう。

<契約の更新>
・期間の定めのある賃借権は、契約により留保している解約権を行使した場合や(民618参照)、建物の滅失(履行不能)、債務不履行による契約解除、合意による解約などにより終了するが、それ以外の場合には普通借家権は期間の満了により消滅するのが原則。そして、期間満了後に借地権を存続させるには更新が必要となる。

・賃貸借契約の更新方法としては、民法では合意更新(民604Ⅱ参照、もっとも借地借家法は民604不適用(同法29Ⅱ)。)および法定更新(619Ⅰ、なお使用及び「収益」を継続した場合)があるが、借地借家法上の規定としては法定更新(26)がある。

・存続期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしないと更新があったものとみなす(26Ⅰ本)

・上記通知がなされた場合であっても、期間満了後賃借人が建物使用を継続する場合において、賃貸人が遅滞なく異議を述べないと契約は更新されたものとみなされる(26Ⅱ)

・法定更新後の存続期間は期間の定めのないものとなる(26Ⅰ但)。

・期限の定めのない契約については、賃貸人が解約を申し入れ6か月を経過すると賃貸借契約は終了する(27)→民法上は、3か月(民617Ⅰ②)

・上記更新拒絶通知もしくは解約申入れには正当の事由が必要(28)

民法第604条  (省略)
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。
民法第617条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 1年
二  建物の賃貸借 3箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 1日
2  (省略)

民法第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
民法第619条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。
2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。
第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
第27条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
2  前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
第34条  建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
2  建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から6月を経過することによって終了する。
借家法第1条ノ2 建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス
借家法第2条 当事者カ賃貸借ノ期間ヲ定メタル場合ニ於テ当事者カ期間満了前6月乃至1年内ニ相手方ニ対シ更新拒絶ノ通知又ハ条件ヲ変更スルニ非サレハ更新セサル旨ノ通知ヲ為ササルトキハ期間満了ノ際前賃貸借ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ賃貸借ヲ為シタルモノト看做ス
2 前項ノ通知ヲ為シタル場合ト雖モ期間満了ノ後賃借人カ建物ノ使用又ハ収益ヲ継続スル場合ニ於テ賃貸人カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキ亦前項ニ同シ
借家法第3条 賃貸人ノ解約申入ハ6月前ニ之ヲ為スコトヲ要ス
2 前条第2項ノ規定ハ賃貸借カ解約申入ニ因リテ終了シタル場合ニ之ヲ準用ス
借家法第4条 賃貸借ノ期間満了又ハ解約申入ニ因リテ終了スヘキ転貸借アル場合ニ於テ賃貸借カ終了スヘキトキハ賃貸人ハ転借人ニ対シ其ノ旨ノ通知ヲ為スニ非サレハ其ノ終了ヲ以テ転借人ニ対抗スルコトヲ得ス
2 賃貸人カ前項ノ通知ヲ為シタルトキハ転貸借ハ其ノ通知ノ後6月ヲ経過スルニ因リテ終了ス


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2016年7月3日日曜日

<借地借家法16>普通借家権の存続期間(29、借家3ノ2)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、本日は普通借家権の存続期間についてです。

<存続期間>
・最短が1年であり、1年未満は期間の定めのない賃貸借とみなされる(29Ⅰ)。
・上限20年、更新の上限も20年(民604)の規定は、平成12年3月1日「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」5条の施行により、用されなくなったため、上限がなくなった(借地借家法29Ⅱ)。

第29条  期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
2 民法第604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。
民法第604条  賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。
2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない
良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法第5条 借地借家法の一部を次のように改正する。
  (省略)
  第29条に次の一項を加える。
    2 民法第604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。
良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法附則第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第5条、次条及び附則第3条の規定は、平成12年3月1日から施行する。
良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法附則第2条 第5条の規定の施行前にされた建物の賃貸借契約の更新に関しては、なお従前の例による。
2 (省略)
借家法第3条ノ2 1年未満ノ期間ノ定アル賃貸借ハ之ヲ期間ノ定ナキモノト看做ス

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2016年7月2日土曜日

<借地借家法15>借家権の対抗力(31、借家1)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さあ、借家権について続けましょう。

<借家権の対抗力>
・建物の引き渡しによる(31Ⅰ)。

・引き渡しは事実行為であり、何らの形式を要しないが、引渡文書の交付や鍵の受渡しが一般的。

第31条  建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
2  民法第566条第1項及び第3項の規定は、前項の規定により効力を有する賃貸借の目的である建物が売買の目的物である場合に準用する。
3  民法第533条の規定は、前項の場合に準用する。
借家法第1条 建物ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ建物ノ引渡アリタルトキハ爾後其建物ニ付物権ヲ取得シタル者ニ対シ其ノ効力ヲ生ス
2 民法第566条第1項及第3項ノ規定ハ登記セサル賃貸借ノ目的タル建物カ売買ノ目的物ナル場合ニ之ヲ準用ス
3 民法第533条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

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2016年7月1日金曜日

<借地借家法14>借家権の対象(1、40、借家8)

 大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

 さて、借地借家法の借家権についてみていきましょう。

 なお、借地借家法の施行により、借家法は廃止され(借地借家法附則2)、借地借家法附則に特別の定めある場合を除き、法施行前に生じた事項にも遡及して借地借家法が適用されます(借地借家法附則4本文)。もっとも、廃止前の借家法の規定により生じた効力は妨げられません(借地借家法附則4但)。

 したがって、旧法時代の借家契約に出くわした場合、現在でも認めらる借家法の効力と、特別の定めがあり適用される借家法の規定について知っておく必要があります。

 もっとも、借家法から借地借家法への改正の際、条文の変更がほとんどありませんので、特別の定め(つまり、借地借家法附則)も借地法の場合と違ってほとんどありません。そのため、旧借家法は特に必要のない限り条文の紹介に留めます。

<借家権の対象>
・借家権は、借家法と同じく、建物の賃貸借を対象とし(1)、使用貸借には適用されない。

・1条後段にいう建物は、土地の上に定着し、土台、柱、屋根、障壁登を有する構造物で、居住、営業等の用に供されるものをいい、建物の一部であっても、障壁等によって他の部分と区画され、独占的、排他的支配が可能な構造、規模を有する場合も含む。

・一時使用の借家権の場合、第3章借家の規定は全部不適用(40)

・一時使用のための賃貸借といえるためには必ずしもその期間の長短だけを基準として決せられるべきものではなく、賃貸借の目的、動機、その他の諸般の事情から、該賃貸借契約を短期間内に限り存続させる趣旨のものであることが、客観的に判断される場合であればよいのであって、その期間が一年未満の場合でなければならないものではない(最判昭36・10・10、裁判上の和解につき最判昭43・1・25も同旨)。

・転勤するまでの一時使用のための借家契約が更新され、約7年半以上を経過した事案でも一時使用のための借家契約と認めた(最判昭41・10・27)。

・公営住宅の賃貸借にも原則として借地借家法が適用される(最判平2・6・22(借家法1ノ2の解約を認めた事例)、他方、最判昭62・2・13(建替事業のための明渡請求に借地法1ノ2の要件具備を要しないとした事例)。

・社宅について、使用料が社宅使用の対価と認められない場合に、借家法1ノ2の適用が認められなかった事例がある(最判昭29・11・16)。

・サブリース契約にも種々のものがあり、一概に借地借家法が適用されるとも言えない(cf.最判平15・10・21)。

・一定期間賃料を無償とする契約(フリーレンタル)は、基本契約が賃貸借契約であり、無償期間内も借地借家法が適用される。

第1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
第40条  この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
附則第2条  次に掲げる法律は、廃止する。
1 建物保護に関する法律
2 借地法
3 借家法

附則第4条  この法律の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、附則第2条の規定による廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力を妨げない。
借家法第8条 本法ハ一時使用ノ為建物ノ賃貸借ヲ為シタルコト明ナル場合ニハ之ヲ適用セス


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2016年5月13日金曜日

<借地借家法13>建物譲渡特約付借地権(24)

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

今回も借地借家法独自の建物譲渡特約付借地権です。

結構マニアックな制度ですね。

<建物譲渡特約付借地権>
・借地権設定後30年以上経過したときに地主が相当の対価で借地上の建物の譲渡を受けることにより消滅する借地権(24Ⅰ)

・借地権は普通借地権でも定期借地権でも事業用定期借地権でもよい。

・特約は期限付き売買や売買予約などが考えられる。

・相当の対価は、譲渡時の建物の時価をいい、建物価格に場所的利益を考慮したものと考えられる。→cf.建物買取請求権行使時の建物の時価

・権利保全のためには、所有権移転仮登記又は所有権移転請求権仮登記が必要。

・地主が建物を譲り受けると借地権は消滅し、借地人は建物明渡義務を負う。また、建物賃借人がいる場合であっても、前記の仮登記の存在により借家人は建物賃借権を対抗できず、建物明渡義務を負うのが原則。

・しかしながら、これら建物の使用を継続している者と建物譲受人である地主との間には、法律上当然に期間の定めのない(借地権者が請求した場合で借地権の残存期間があるときはその残存期間)建物賃貸借契約が成立する(法定借家権、24Ⅱ前)。当事者の合意で定期建物賃貸借にすることもできる(24Ⅲ)。賃料は当事者の合意によるが合意が成立しないときは裁判所が定める(24Ⅱ後)。

・建物が30年以上の期間が経過する前に滅失した場合、建物譲渡による借地権の消滅はないが、基本借地権が普通借地権であれば存続期間満了により借地権消滅(5)、定期借地も同様。

・30年以上経過後地主が譲渡を受ける前に建物が滅失した場合も前述と同様。

・仮登記をせずに建物が他人名義となっている場合、建物譲渡は不可能であり、通常の借地権の終了と同様になる。

実際にどういう契約内容になるのか、マニアック過ぎてイメージが湧きません。

第24条  借地権を設定する場合(前条第2項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第9条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2  前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3  第1項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第38条第1項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

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2016年5月12日木曜日

<借地借家法12>事業用定期借地権等(23)

大阪の司法書士の伊東です。

私はなかなかお目にかかることがない事業用定期借地権等です。

<事業用定期借地権等>
・事業用定期借地権等とは、事業用定期借地権(23Ⅰ)と事業用借地権(23Ⅱ)のこと。

・借地借家法施行当初は、事業用借地権のみであったが、改正により平成20年1月1日から上記2つとなり、事業用借地権の存続期間は10年以上20年以下から10年以上30年未満に改正された。

・専ら事業の用に供する建物所有を目的とする(「専ら」であるから住居部分を併設した建物は除かれる。)。

・ともに公正証書によることが必要(23Ⅲ→定期借地契約は公正証書によらずとも書面であればよい。)。

・存続期間は、事業用定期借地権が30年以上50年未満(23Ⅰ)、事業用借地権が10年以上30年未満(23Ⅱ)。

・事業用定期借地権は、①契約の更新がないこと、②建物再築による存続期間の延長がないこと、③建物買取請求権を行使しないことを定めることができる。これに対し、事業用借地権は、前記①②③のいずれも法律上当然に認められる。

・契約期間が終了すれば、借地人は、土地上の建物その他の工作物を収去して、土地を原状に復して地主に返還する義務を負う。

第23条  専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2  専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
3  前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

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2016年5月11日水曜日

<借地借家法11>定期借地権(22、35)

大阪の司法書士の伊東です。

今回は、借地法にはなかった借地借家法で新設された契約更新のない定期借地権のお話しです。

<定期借地権>
・要件
(1)存続期間50年以上の借地権の設定
(2)①契約の更新がない、②建物が再築されても期間の延長がない、③期間満了時の建物買取請求をしない、という3つの特約
(3)書面によること

・期間満了により当然に借地契約終了。

・定期借地権を設定したこと自体が民619条の推定を覆す事情といえるが、念のため特約でこれを排除しておくことが無難。

・借地上の建物に借家人がいる場合(通常は、借地契約の存続期間に合わせて定期借家契約又は取壊予定の借家契約をしているであろうが、そうでない場合)、借地権の存続期間が満了することを1年前までに知らなかった借家人は、裁判所に請求することで、知った日から1年を超えない範囲内で、土地の明け渡しが猶予され(35Ⅰ)、猶予期間満了により建物賃貸借は終了(35Ⅱ)

・なお、既存借地権から定期借地権への更改契約は、借地人に不利な契約であり無効と解される(借地法9?「どんな場合にいくら払う!?立退料の決め方第3版」p.194)。

第22条  存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
民法第619条 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。
2 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。
第35条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。


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2016年5月10日火曜日

<借地借家法10>地代等の増減請求(11)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、本日は地代等の増減請求についてです。

旧法の契約にも遡及適用されますので、しっかり見ていきましょう。

<地代又は借賃の増減請求(11)>
・地代又は土地の借賃(以下地代等)の額は当事者の合意により決まる。←昭和21年までは地代家賃統制令あり。

・①租税その他公課の変動、②土地の価格の変動、③その他の経済事情の変動、④近傍類似の土地の地代等との比較により不相当となった場合、地代等の増減額請求権(11Ⅰ)

・①は地代等に占める必要経費等に着目し、 ②は土地の元本としての価格に着目し、③はその他の経済的要因に着目し、④は比較要因に着目するものである。

・その他経済事情の変動がどの程度地代等の変動に影響を与えてるのかの理論的解明はなされていない(実務解説借地借家法)。

・不動産鑑定評価基準に定める継続賃料の鑑定評価手法を基準とする。

・一定期間地代等の増額をしない旨の定めは有効(11Ⅰ但)。減額しない旨の定めあっても減額請求できる(大判昭13・11・1)。

・地代等自動改定特約は、その改定基準が11条に規定する経済事情の変動等を示す指標に基づく相当なものであれば有効(最判平15・6・12)。

・地主から増額請求あった場合、裁判確定までは借地人自ら相当と認める額を支払えば足りる(11Ⅱ)。逆に借地人が減額請求した場合、裁判確定までは地主が相当と認める額を支払う(11Ⅲ)。

・調停前置(民調24の2)

第11条  地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下そ の他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額 の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払う ことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付し てこれを支払わなければならない。
3  地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を 請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合 による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
民事調停法第24条の2  借地借家法第11条 の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第32条 の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。
2  前項の事件について調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、受訴裁判所は、その事件を調停に付さなければならない。ただし、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。 

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2016年5月9日月曜日

<借地借家法9>借地条件変更等(8、17、18、附則7Ⅱ、10、11)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、どんどん進めましょう。

<借地条件変更等>
・どのような種類、構造の建物を築造するか、建物の増改築は借地人が自由に決められるのが原則。もっとも、建物の種類、構造、規模、用途、増改築を制限する旨の特約は有効であり、これと異なる建物を築造したり、増改築する場合には、地主の承諾が必要となる。承諾ない場合は、債務不履行解除されるおそれがある。

・また、契約更新後に地主の承諾を得ないで残存期間を超えて存続する建物を築造した場合、解約申入れ事由となる(8Ⅱ)→新法施行後の契約の場合のみ(附則7Ⅱ)

・これらの場合、借地条件変更の裁判(17Ⅰ)、増改築許可の裁判(17Ⅱ)、契約更新後の存続期間を超える建物築造許可の裁判(18)。→18については新法施行後の契約についてのみ(附則11)

・承諾量の目安は、借地条件変更の場合、更地価格の10~15%、増改築許可の場合、更地価格の3~5%

第8条  契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
2  前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
3  前二項の場合においては、借地権は、地上権の放棄若しくは消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から三月を経過することによって消滅する。
4  第一項に規定する地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利は、第二項に規定する地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利を制限する場合に限り、制限することができる。
5  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第二項の規定を適用する。
第17条  建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。
2  増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
3  裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
4  裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。
5  転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができる。
6  裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
第18条  契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、延長すべき借地権の期間として第7条第1項の規定による期間と異なる期間を定め、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
2  裁判所は、前項の裁判をするには、建物の状況、建物の滅失があった場合には滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。)が土地の使用を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
3  前条第5項及び第6項の規定は、第1項の裁判をする場合に準用する。
附則第7条  (省略)
2  第8条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。
附則第10条  この法律の施行前にした申立てに係る借地条件の変更の事件については、なお従前の例による。
附則第11条  第18条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。


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2016年5月8日日曜日

<借地借家法8>借地権の譲渡・転貸(14、19、20)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

借地権の譲渡・転貸に関しては、旧法時代の借地契約の場合も借地借家法が適用されますので、こちらでしっかり理解しましょう。

<借地権の譲渡・転貸>
・借地権が地上権であれば譲渡・転貸に地主の承諾不要。

・借地権が土地賃借権であれば地主の承諾必要(民612Ⅰ)。承諾ないことは土地賃借権の解除原因(民612Ⅱ)。

・承諾なければ地主に対し効力がなく、解除しなくても譲受人・転借人に建物収去土地明渡請求できる(最判昭26・5・31)。

・借地上の建物の譲渡により当然に借地権の譲渡・転貸となる(民87Ⅱ参照)。

・建物の譲渡・転貸の場合に限り、代諾許可の裁判(19Ⅰ)。

・承諾料(19Ⅰ)は借地権価格の10%前後が目安。

・この裁判中に地主の建物優先買受けの申立をすることができる(19Ⅲ)。

・承諾ない場合、建物収去・土地明渡が原則のところ、譲受人・転借人による建物買取請求権(14)。この建物買取請求権の性質、内容等は契約更新されない場合の建物買取請求権(13)と同様。

・転々譲渡されている場合は、最後の譲受人が建物買取請求権を有する(大判昭9・4・24)

・競売又は公売の場合、2ヶ月以内に代諾許可の裁判を申し立てないと借地権を地主に対抗できない(20Ⅲ)。

民法第612条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
第14条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
第19条  借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
2  裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
3  第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。
4  前項の申立ては、第1項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。
5  第3項の裁判があった後は、第1項又は第3項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。
6  裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項又は第3項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
7  前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。
第20条  第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。
2  前条第二項から第六項までの規定は、前項の申立てがあった場合に準用する。
3  第一項の申立ては、建物の代金を支払った後2月以内に限り、することができる。
4  民事調停法第19条の規定は、同条に規定する期間内に第1項の申立てをした場合に準用する。
5  前各項の規定は、転借地権者から競売又は公売により建物を取得した第三者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第2項において準用する前条第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

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2016年5月7日土曜日

<借地借家法7>普通借地権が契約更新されない場合の建物買取請求権(13、附則9)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

本日は借地契約に特有の建物買取請求権についてみていきましょう。

<契約更新されない場合の建物買取請求権(13)>
・借地権の存続期間が満了し、契約が合意更新されず、法定更新(5、6)もされない場合、、借地権は期間満了により消滅する。この場合、建物収去・土地明渡(民269、616・598)が原則のところ、建物買取請求権が認められている(13Ⅰ)。

・地主への意思表示で当然に売買契約が成立し、所有権移転義務と代金支払義務は同時履行(大判昭7・1・26)。→代金支払いまでは借地人は建物の引き渡しを拒むことができるが、地主に対し賃料相当損害金を支払わなければならない(最判昭35・9・20)。

・地主の承諾を得ないで借地権の存続期間を超えて存続する建物を築造した場合、裁判所は、建物買取代金の支払いに相当の期限を付与することができる(13Ⅱ)→借地法にはなかった規定であり、旧法時代の借地契約には遡及適用されない(附則9Ⅰ)。

・建物収去土地明渡認容判決確定後においても請求可(最判昭52・6・20)←時機に遅れたものではない。

・借地権消滅後10年で時効(最判昭42・7・20)

・借地権消滅後の建物買受人は建物買取請求権を有さない(大判昭16・6・20)

・建物の時価とは、建物が現存するままの状態における価格をいい、借地権価格は含まれないため、一般の建物価格に比べ低額となる。もっとも、建物の存在する場所的環境(裁判実務上借地権価格の20~30%)は参酌される(最判昭35・12・20)

・建物に抵当権が設定されていても建物の時価は減額されるべきではない(最判昭39・2・4)

・建物の時価の算定に当たっては、建物賃貸借の存在は当然に考慮される。

民法第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。
民法第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
第13条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。

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2016年5月6日金曜日

<借地借家法6>普通借地権の正当の事由(4~6、28、35)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

正当の事由については、かなり深い論点で、また借地契約と借家契約で異なる部分もあるので混同しないで理解する必要がありますね。

<正当の事由(普通借地権)>
・借地借家法の規定により、借地契約は全て期間の定めのある契約となるため、契約期間満了により借地契約は消滅するのが原則である。期間満了後も借地権を存続させるためには、契約の更新が必要であり、借地借家法では、合意更新(4)と法定更新(5)の規定が設けられている。

・法定更新の場合、地主は異議主張(5Ⅰ・Ⅱ)できるが、この異議には「正当の事由」が必要である(6)。

・借地法では、「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当の事由」とされていたが、借地借家法では、「借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由の有無を判断するものとされた。
 すなわち、正当の事由は、まず、地主だけではなく借地人の土地の使用の必要性を考慮するほか、借地に関する従前の経過(契約締結の経緯、借地人の債務の履行状況、当事者間の信頼関係等)、土地の利用状況(借地全体に対する建物の敷地面積の割合の程度、建物の残存耐用年数等建物の状況、建物の再築の可能性の有無・程度等)並びに地主が申出た立退料等を考慮して、正当の事由の有無を判断するものとされた。

・立退料の申し出は事実審の口頭弁論終結時まで(最判平6・10・25)

・立退料と引換えに明け渡し請求を認容する判決ができる(借家につき最判昭38・3・1、最判昭46・11・25など)

・家主が申し出た立退料の額と格段の相違のない範囲内で裁判所が決定する額の立退料ならば、家主がその金額を支払う意思を表明して、その立退料の支払と引換えに家屋の立退きを求めている場合には、家主が明示した立退料の額を超える立退料の支払いと引換えに立退き要求を認容することができる(最判昭46・11・25)

・借地人が賃貸する建物の借家人の事情は、特段の事情のない限り、借地人側の事情として斟酌することは許されない(最判昭58・1・20)→借地上の建物の賃借人は、35により保護される。

<正当の事由(借家権)>
・一方、借家契約は期間の定めのある契約と期間の定めのない契約がある。(→未脱稿)


第4条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第5条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
第6条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

第35条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。


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2016年5月5日木曜日

<借地借家法5>普通借地権の契約の更新(4~6、13)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さてさて、借地法の記事との整合性、見易さなどを考えながら更新しています。それゆえ、なかなか先に進めません。

 <契約の更新>
・期間の定めのある賃借権は、契約により留保している解約権を行使した場合や(民618)、土地の滅失(履行不能)、債務不履行による契約解除、合意による解約などにより終了するが、それ以外の場合には借地権は期間の満了により消滅するのが原則。そして、期間満了後に借地権を存続させるには更新が必要となる。

・民法では合意更新(民604Ⅱ参照、もっとも借地借家法は民604不適用(同法29Ⅱ)。)および法定更新(619Ⅰ、なお使用及び「収益」を継続した場合)であるが、借地借家法では、当事者の合意更新(4)と法定更新(5)がある。

・法定更新には、①借地人の請求による法定更新(5Ⅰ)及び②土地の継続使用による法定更新(5Ⅱ)があるが、ともに建物がある場合に限られる(借地法はこれと若干異なる。)

・法定更新の異議には正当事由が必要(6)。

・最初の法定更新では存続期間20年、その後の法定更新では存続期間10年となる(5Ⅰ・Ⅱ・4本)が、これより長い期間を定めることもできる(5Ⅰ・Ⅱ・4但)。

・契約期間が満了し更新されない時は建物買取請求権行使可(13Ⅰ)(借地法上の建物買取請求権)

民法第604条  (省略)
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。
民法第618条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
民法第619条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。
2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。
第4条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第5条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
第6条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
第13条  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。

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2016年5月4日水曜日

<借地借家法4>普通借地権の存続期間(3、4、7、8、附則5~7)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、今日は借地借家法の普通借地権の存続期間について見ていきましょう。

<存続期間>
・普通借地権とは、借地借家法施行後に設定された建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権で法定更新のある借地権(cf.1、2①)。

・法定存続期間は30年(3本、借地法では、堅固60年、非堅固30年(借地法2Ⅰ本))。但し、これより長い期間を定めたときはその期間(3但、借地法では堅固30年以上、非堅固20年以上の期間を定めたときはその期間(借地法2Ⅱ))。

・契約更新後の最初の法定存続期間20年、2回目以降は10年。但し、これより長い期間を定めたときはその期間(4、借地法では、堅固30年、非堅固20年。合意更新の場合にはこれより長い期間も可であるが法定更新の場合は法定存続期間のみ)。

・建物滅失しても借地契約は消滅せず、また、借地人は、土地所有者の承諾なく自由に建物を再築できるのが原則。

・もっとも、建物の種類、構造、規模、用途について借地条件が定められている場合に、これと異なる建物を再築するには地主の同意必要である。

・また、増改築制限特約ある場合は、再築には地主の承諾必要である。

・最初の存続期間中に建物滅失した場合において、存続期間を超えて存続する建物を再築したときは、地主の承諾あれば、承諾のあった日又は建物が再築された日のいずれか早い日から20年間(これより長い期間の合意も可)存続期間が伸長する(7Ⅰ、借地法の場合は地主は遅滞なく異議を述べなければならない) 。最初の存続期間であれば、借地人の通知を受けて2ヶ月以内に地主の異議なければ承諾みなし(7Ⅱ)。

・建物の滅失とは、自然的であっても人工的であっても、また、借地人が任意に取り壊したか否かにかかわらず、建物が滅失した場合の一切の場合をいう(最判昭38・5・21)。

・再築にあたり、存続期間を超えて存続する建物を建築しない旨の特約は無効(最判昭33・1・23)。

・(法定更新に限らず)契約更新後の建物滅失の場合、借地人から解約申入れできる(8Ⅰ)。また、契約更新後に承諾なく残存期間を超える建物を再築したときは、承諾みなし(7Ⅱ)の適用はなく、地主は解約申入れできる(8Ⅱ)。解約申し入れ後3ヶ月経過で借地権は当然に消滅(8Ⅲ、解約申入れに正当事由は不要)。

・なお、建物の朽廃による借地権消滅制度は借地借家法施行後の借地契約には適用されません(附則5反対解釈、建物の朽廃による借地権の消滅)。

・7、8条は遡及しない(附則7)。


第3条  借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第4条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第7条  借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。
2  借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後2月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。ただし、契約の更新の後(同項の規定により借地権の存続期間が延長された場合にあっては、借地権の当初の存続期間が満了すべき日の後。次条及び第18条において同じ。)に通知があった場合においては、この限りでない。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第一項の規定を適用する。
第8条  契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
2  前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
3  前二項の場合においては、借地権は、地上権の放棄若しくは消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から三月を経過することによって消滅する。
4  第一項に規定する地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利は、第二項に規定する地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利を制限する場合に限り、制限することができる。
5  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第二項の規定を適用する。
附則第5条  この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による。
附則第6条  この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による
附則第7条  この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の滅失後の建物の築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。
2  第8条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。


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2016年5月3日火曜日

<借地借家法3>普通借地権の対抗力(10)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

借地借家法では建物滅失の際の対抗方法の規定が新設され、旧法の借地契約であっても法施行後の滅失の場合に適用されます(法附則8反対解釈)。

<借地権の対抗力>
・地上権、賃借権は登記をすれば第三者に対抗できる(民177、605)が、賃借権には登記請求権がない(大判大10・7・11)。→建物の登記があれば借地権を第三者に対抗できるとした(10Ⅰ)。

・建物の登記は表示登記で足りる(最判昭50・2・13)

・建物滅失した場合、建物の登記の効力失われ、対抗力は認められなくなるのが原則である。もっとも、借地人が借地上の見やすい場所に、滅失した建物の表示などその建物を特定するのに必要な事項などを掲示すれば、建物が滅失した日から2年間に限り、借地権を対抗することができる(10Ⅱ、なお、旧法下の借地権につき附則8反対)

・10Ⅰの対抗要件を備えていても、借地上建物の競落人は、借地権の譲渡を土地所有者に対抗できない(大判昭7・3・7)。

民法第177条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

民法第605条  不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
第10条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
3  (省略)
4  (省略)

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2016年5月2日月曜日

<借地借家法2>借地権の対象(1、25)

<借地借家法における借地権の対象>
・借地権は、借地法と同じく、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権を対象とし(1)、使用貸借には適用されない。例えば、土地の使用借人が土地の公租公課を負担していても(建物の使用借人が建物の公租公課を負担していても)、使用貸借契約であり、借地借家法は適用されない(民595Ⅰ参照)。

・借家権は、借家法と同じく、建物の賃貸借を対象とし(1)、使用貸借には適用されない。

・1条前段にいう建物は、表示登記できるほどのものには限られないが、少なくとも土台、柱、屋根、周壁が存し、社会的経済的効用を有する土地に定着する構造物である必要があり、船、キャンピングカー、テント、堀建小屋、コンテナを積み上げた倉庫などは建物にあたらない(実務解説借地借家法p.21)。

・借地権は、建物所有を目的とすればよく、現に建物が存する必要はないが(1、なお借地法1も同様)、建物が存しない場合、対抗力(10Ⅰ)や更新(5)等の点で借地人に不利となる。

・一時使用の借地権の場合、借地借家法の第2章借地のうちの一部の規定が不適用(25、なお借地法も一部不適用(借地法9))。具体的には、借地権の存続期間や更新に関する規定(3~8、13、17、18)及び定期借地権等(22~24)の規定。

第1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
民法第595条  借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
2  (略)
第25条  第3条から第8条まで、第13条、第17条、第18条及び第22条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。

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2016年5月1日日曜日

<借地借家法1>定義(2)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

今日からようやく借地借家法の解説です。

それでは、まずは定義規定、からです。

<借地借家法の定義>
・借地法では借地権のみ定義されていますが(借地法1)、借地権以外の借地関係の用語についても定義規定が置かれています(2)。

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 1 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
 2 借地権者 借地権を有する者をいう。
 3 借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。
 4 転借地権 建物の所有を目的とする土地の賃借権で借地権者が設定しているものをいう。
 5 転借地権者 転借地権を有する者をいう。

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2016年4月30日土曜日

<借地借家法0>借地権、借家権の種類

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、今回からは借地借家法上について勉強します。

<借地権の種類>
借地法では、既存借地権のみであったが、借地借家法では、①普通借地権(借家法の既存借地権と同趣旨)の他、②定期借地権、③建物譲渡特約付借地権、④事業用借地権が新設された(なお、事業用借地権は平成19年に事業用借地権と事業用定期借地権に改正(平成20年1月1日施行))。

<借家権の種類>
借家法では、既存借家権のみであったが、借地借家法では、①普通借家権の他、②定期借家権、③取壊し予定の建物の賃貸借、④終身建物賃貸借が新設された。

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2016年4月15日金曜日

<既存借家権4>正当の事由

昭和16年改正部分です。

<正当の事由>
・賃貸人の更新拒絶又は解約申入れには「正当の事由」が必要(1の2)。
・正当の事由とは「家主と借家人双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に照らし妥当と認めむべき理由」(最判昭29・1・22)
・立退料が正当事由の補完要素である(最判昭27・3・18)。
・立退料の支払いと引換えに立退き請求を認容することができる(最判昭46・11・25)

第1条ノ2 建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス

2016年4月10日日曜日

<旧法の借地契約9>地代等の増減請求(12)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

本日は、地代等増減請求のお話しですが、現在では借地借家法が遡及適用されますのでさらっと。

<地代又は借賃の増減請求(一部S41改正)>
・地代又は土地の借賃(以下地代等)の額は当事者の合意により決まる。←昭和21年までは地代家賃統制令あり。
・租税その他公課の変動や経済事情の変化等により不相当となった場合、地代等の増減額請求権(12Ⅰ)
・不動産鑑定評価基準に定める継続賃料の鑑定評価手法を基準とする。
・一定期間地代等の増額をしない旨の定めは有効(12Ⅰ但)。減額しない旨の定めあっても減額請求できる(大判昭13・11・1)。
・地代等自動改定特約は、その改定基準が相当なものであれば有効(最判平15・6・12)。
・地主から増額請求あった場合、裁判確定までは借地人自ら相当と認める額を支払えば足りる(12Ⅱ)。逆に借地人が減額請求した場合、裁判確定までは地主が相当と認める額を支払う(12Ⅲ)。←S41改正点
・調停前置(民調24の2)


第12条 地代又ハ借賃カ土地ニ対スル租税其ノ他ノ公課ノ増減若ハ土地ノ価格ノ昂低ニ因リ又ハ比隣ノ土地ノ地代若ハ借賃ニ比較シテ不相当ナルニ至リタルトキハ契約ノ条件ニ拘ラス当事者ハ将来ニ向テ地代又ハ借賃ノ増減ヲ請求スルコトヲ得 但シ一定ノ期間地代又ハ借賃ヲ増加セサルヘキ特約アルトキハ其ノ定ニ従フ
2 地代又ハ借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマテハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ヲ支払フヲ以テ足ル 但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ附則アルトキハ不足額ニ年1割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之ヲ支払フコトヲ要ス
3 地代又ハ借賃ノ減額ニ付額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ減額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ノ支払ヲ請求スルコトヲ得 但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヲ受ケタル額ガ正当トセラレタル地代又ハ借賃ヲ超ユルトキハ超過額ニ年1割ノ割合ニ依ル受領ノ時ヨリノ利息ヲ附シテ之ヲ返還スルコトヲ要ス


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2016年4月9日土曜日

<旧法の借地契約8>借地権の譲渡・転貸(9ノ2~10)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

まだ、借地法が続きます。

<借地権の譲渡・転貸>
・借地権が地上権であれば譲渡・転貸に地主の承諾不要。

・借地権が土地賃借権であれば地主の承諾必要(民612Ⅰ)。承諾ないことは土地賃借権の解除原因(民612Ⅱ)。

・承諾なければ賃貸人に対し効力がなく、解除しなくても譲受人・転借人に建物収去土地明渡請求できる(最判昭26・5・31)。

・借地上の建物の譲渡により当然に借地権の譲渡・転貸となる(民87Ⅱ参照)。

・代諾許可の裁判の制度(9ノ2、9ノ3)については、従前の例によるとの借地借家法の附則はないため、借地借家法の規定が適用される。

(以下は参考まで)
・建物の譲渡・転貸の場合に限り、代諾許可の裁判(9ノ2Ⅰ)。

・承諾料は借地権価格の10%前後が目安。

・この裁判中に地主の建物優先買受けの申立をすることができる(9ノ2Ⅲ)。

・承諾ない場合、建物収去・土地明渡が原則のところ、譲受人・転借人による建物買取請求権(10)。この建物買取請求権の性質、内容等は契約更新されない場合の建物買取請求権(4Ⅱ)と同様。

・転々譲渡されている場合は、最後の譲受人が建物買取請求権を有する(大判昭9・4・24)

・競売又は公売の場合、2ヶ月以内に代諾許可の裁判を申し立てないと借地権を地主に対抗できない(9ノ3Ⅲ)。

民法第612条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
第9条ノ2 借地権者ガ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物ヲ第三者ニ譲渡セントスル場合ニ於テ其ノ第三者ガ賃借権ヲ取得シ又ハ転借スルモ賃貸人ニ不利トナル虞ナキニ拘ラズ賃貸人ガ其ノ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セサルトキハ裁判所ハ借地権者ノ申立ニ因リ賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得 此ノ場合ニ於テ当事者間ノ利益ノ衝平ヲ図ル為必要アルトキハ賃借権ノ譲渡若ハ転貸ヲ条件トスル借地条件ノ変更ヲ命ジ又ハ其ノ許可ヲ財産上ノ給付ニ係ラシムルコトヲ得
2 裁判所ハ前項ノ裁判ヲ為スニハ賃借権ノ残存期間、借地ニ関スル従前ノ経過、賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ必要トスル事情其ノ他一切ノ事情ヲ考慮スルコトヲ要ス
3 第1項ノ申立アリタル場合ニ於テ裁判所ガ定ムル期間内ニ賃貸人ガ自ラ建物ノ譲渡及賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ受クベキ旨ノ申立ヲ為シタルトキハ裁判所ハ同項ノ規定ニ拘ラズ相当ノ対価及転貸ノ条件ヲ定メテ之ヲ命ズルコトヲ得 此ノ裁判ニ於テハ当事者双方ニ対シ其ノ義務ヲ同時ニ履行スベキコトヲ命ズルコトヲ得
4 前項ノ申立ハ第1項ノ申立ノ取下アリタルトキ又ハ不適法トシテ同項ノ申立ノ却下アリタルトキハ其ノ効力ヲ失フ
5 第3項ノ裁判アリタル後ハ第1項又ハ第3項ノ申立ハ当事者ノ合意アルニ非ザレバ之ヲ取下グルコトヲ得ズ
6 裁判所ハ特ニ必要ナシト認ムル場合ヲ除クノ外第1項又ハ第3項ノ裁判ヲ為ス前鑑定委員会ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第9条ノ3 第三者カ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物ヲ競売又ハ公売ニ因リ取得シタル場合ニ於テ其ノ第三者カ賃借権ヲ取得スルモ賃貸人ニ不利トナル虞ナキニ拘ラズ賃貸人ガ其ノ賃借権ノ譲渡ヲ承諾セサルトキハ裁判所ハ其ノ第三者ノ申立ニ因リ賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得 此ノ場合ニ於テ当事者間ノ利点ノ衝平ヲ図ル為必要アルトキハ借地条件ヲ変更シ又ハ財産上ノ給付ヲ命ズルコトヲ得
2 前条第2項乃至第6項ノ規定ハ前項ノ申立アリタル場合ニ之ヲ準用ス
3 第1項ノ申立ハ建物ノ代金ヲ支払ヒタル後2月内ニ限リ之ヲ為スコトヲ得  民事調停法第19条ノ規定ハ同条ニ規定スル期間内ニ第1項ノ申立ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第9条ノ4 第9条ノ2ノ規定ハ土地ノ転借人ト賃貸人トノ間ニ、前条ノ規定ハ土地ノ転借人ヨリ競売又ハ公売ニ因リ建物ヲ取得シタル第三者ト賃貸人トノ間ニ之ヲ準用ス 但シ賃貸人カ第9条ノ2第3項(前条第2項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ申立ヲ為スニハ転貸人ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス
第10条 第三者カ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ取得シタル場合ニ於テ賃貸人カ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セサルトキハ賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得

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2016年4月8日金曜日

<旧法の借地契約7>借地条件の変更等(8ノ2、借地借家法附則10)

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

さあ、どんどん進めましょう。

これも、旧法時代に申し立てられたもの以外は借地借家法が遡及適用される場面なので、さらっとです。

<借地条件の変更等(S41改正)>
・地主の承諾なく自由に建物を築造することができるのが原則。もっとも、契約で定められている場合又は3条(非堅固建物所有みなし)と異なる種類・構造の建物を築造する場合、借地条件の変更の契約又は地主の承諾が必要となる。この場合、変更契約なしに又は承諾なしに異なる種類・構造の建物を築造すれば債務不履行を原因に契約が解除される可能性あり(但し、当該行為が背信行為に該当する必要がある。)。

・承諾が得られない場合は借地条件変更の裁判(8ノ2Ⅰ)。更地価格の10~15%の承諾料(8ノ2Ⅲ)。

・増改築についても土地所有者の承諾なく自由に増改築することができるのが原則であるが、増改築について制限する特約も有効。この場合の増改築には地主の承諾等必要。承諾ない場合は債務不履行解除の可能性。

・承諾が得られない場合は、増改築許可の裁判(8ノ2Ⅱ)。更地価格の3~5%の承諾料(8ノ2Ⅲ)。

第8条ノ2 防火地域ノ指定、附近ノ土地ノ利用状況ノ変化其ノ他ノ事情ノ変更ニ因リ現ニ借地権ヲ設定スルニ於テハ堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルコトヲ相当トスルニ至リタル場合ニ於テ堅固ノ建物以外ノ建物ヲ所有スル旨ノ借地条件ノ変更ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ裁判所ハ当事者ノ申立ニ因リ其ノ借地条件ヲ変更スルコトヲ得
2 増改築ヲ制限スル旨ノ借地条件ガ存スル場合ニ於テ土地ノ通常ノ利用上相当トスベキ増改築ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ裁判所ハ借地権者ノ申立ニ因リ其ノ増改築ニ付テノ土地所有者又ハ賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得
3 裁判所ハ前2項ノ裁判ヲ為ス場合ニ於テ当事者間ノ利点ノ衡平ヲ図ル為必要アルトキハ他ノ借地条件ヲ変更シ、財産上ノ給付ヲ命ジ其ノ他相当ノ処分ヲ為スコトヲ得
4 裁判所ハ前3項ノ裁判ヲ為スニハ借地権ノ残存期間、土地ノ状況、借地ニ関スル従前ノ経過其ノ他一切ノ事情ヲ考慮スルコトヲ要ス
5 借地権者ガ更ニ借地権ヲ設定シタル場合ニ於テ必要アルトキハ裁判所ハ後ノ借地権者ノ申立ニ因リ其ノ者ノ借地権及前ノ借地権者ノ借地権ニ付第1項乃至第3項ノ裁判ヲ為スコトヲ得
6 裁判所ハ特ニ必要ナシト認ムル場合ヲ除クノ外第1項乃至第3項又ハ前項ノ裁判ヲ為ス前鑑定委員会ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
借地借家法附則第10条  この法律の施行前にした申立てに係る借地条件の変更の事件については、なお従前の例による。

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2016年4月7日木曜日

<旧法の借地契約6>契約更新されない場合の建物買取請求権(4Ⅱ、借地借家法附則9条)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

では、借地契約に特有の建物買取請求権についてみていきましょう。

<契約更新されない場合の建物買取請求権(4Ⅱ)>
・存続期間が満了し、契約が合意更新されず、また、借地権者の更新請求又は土地の使用継続に対する地主の異議に正当事由(但し、土地の使用継続の場合は建物がなければ正当事由は不要(6Ⅱ))が認められれば借地権は期間満了により消滅する(4Ⅰ、6Ⅰ)。
この場合、建物収去・土地明渡(民269、616・598)が原則のところ、建物買取請求権を行使できる(4Ⅱ)。

・債務不履行解除の場合は建物買取請求権は認められない(最判昭35・2・9)。
もっとも、借地借家法では「存続期間の満了」の場合に限定され(同法13Ⅰ)、これは旧法の借地契約にも適用される(同法附則9Ⅰ反対解釈)。

・地主への意思表示で当然に売買契約が成立し、所有権移転義務と代金支払義務は同時履行(大判昭7・1・26)。→代金支払いまでは借地人は建物の引き渡しを拒むことができるが、地主に対し賃料相当損害金を支払わなければならない(最判昭35・9・20)。

・建物収去土地明渡認容判決確定後においても請求可(最判昭52・6・20)←時機に遅れたものではない。

・借地権消滅後10年で時効(最判昭42・7・20)

・借地権消滅後の建物買受人は建物買取請求権を有さない(大判昭16・6・20)

・建物の時価とは、建物が現存するままの状態における価格をいい、借地権価格は含まれないため、一般の建物価格に比べ低額となる。もっとも、建物の存在する場所的環境(裁判実務上借地権価格の20~30%)は参酌される(最判昭35・12・20)

・建物に抵当権が設定されていても建物の時価は減額されるべきではない(最判昭39・2・4)

・建物の時価の算定に当たっては、建物賃貸借の存在は当然に考慮される。

民法第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。
民法第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
2 借地権者ハ契約ノ更新ナキ場合ニ於テハ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
3 (省略)
第6条 借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
2 前項ノ場合ニ於テ建物アルトキハ土地所有ハ第4条第1項但書ニ規定スル事由アルニ非サレハ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第10条 第三者カ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ取得シタル場合ニ於テ賃貸人カ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セサルトキハ賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
借地借家法第13条  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。
借地借家法附則第9条  第13条第2項の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。
2  第13条第3項の規定は、この法律の施行前に設定された転借地権については、適用しない。


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2016年4月6日水曜日

<旧法の借地契約5>正当ノ事由(4,6,7、借地借家法附則14)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

本日は、掘り下げればかなり深い「正当ノ事由」についてです。

<正当ノ事由>
・借地法の規定により、借地契約は全て期間の定めのある契約であり、契約期間満了により借地契約は消滅するのが原則。期間満了後も借地権を存続させるためには、契約の更新が必要であり、借地法では、合意更新(5参照)と法定更新(4、6参照)の規定が設けられている。

・法定更新の場合、地主は異議主張できるが、この異議には「正当ノ事由」が必要である。

・借地人の更新請求は建物が存する場合にのみ法定更新され(4Ⅰ本)、この更新に対する地主の異議に「正当ノ事由」が必要(4Ⅰ但)。

・借地権消滅後の土地使用継続による法定更新(6Ⅰ1文)に対する地主の異議は、建物が存在する場合には「正当ノ事由」が必要(6Ⅱ・4Ⅰ但)であり、建物が存在しない場合には正当ノ事由は不要。

・なお、建物滅失後の再築に対する異議には正当の事由は不要(7)。→期間満了時に正当ノ事由が判断される。

・土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当の事由(4Ⅰ但)についての解釈については借地借家法に譲る。

・立退料は正当事由の補完要素であり(借家につき最判昭27・3・18)、立退料の申し出は事実審の口頭弁論終結時まで(最判平6・10・25)

・立退料と引換えに明け渡し請求を認容する判決ができる(借家につき最判昭38・3・1、最判昭46・11・25など)

・家主が申し出た立退料の額と格段の相違のない範囲内で裁判所が決定する額の立退料ならば、家主がその金額を支払う意思を表明して、その立退料の支払と引換えに家屋の立退きを求めている場合には、家主が明示した立退料の額を超える立退料の支払いと引換えに立退き要求を認容することができる(最判昭46・11・25)

・借地人が賃貸する建物の借家人の事情は、特段の事情のない限り、借地人側の事情として斟酌することは許されない(最判昭58・1・20)。→借地借家法附則14・借地借家法35により借家人は保護される。

第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
2 (省略)
3 (省略)
第6条 借地権者カ借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
2 前項ノ場合ニ於テ建物アルトキハ土地所有ハ第4条第1項但書ニ規定スル事由アルニ非サレハ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第7条 借地権ノ消滅前建物カ滅失シタル場合ニ於テ残存期間ヲ超エテ存続スヘキ建物ノ築造ニ対シ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ借地権ハ建物滅失ノ日ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年間、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年間存続ス 但シ残存期間之ヨリ長キトキハ其ノ期間ニ依ル
借地借家法附則第6条  この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。
借地借家法附則第7条  この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の滅失後の建物の築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。
2  (省略)
借地借家法附則第14条  第35条の規定は、この法律の施行前に又は施行後一年以内に借地権の存続期間が満了する場合には、適用しない。
借地借家法第35条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその一年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から一年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。

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2016年4月5日火曜日

<旧法の借地契約4>契約の更新(4~6、借地借家法附則6)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、どんどん進みましょう。

<契約の更新>
・期間の定めのある賃借権契約は、契約により解約権を留保している場合や(民618)、土地の滅失(履行不能)、債務不履行による契約解除、合意による解約などの場合を除き、期間満了により終了するのが原則。したがって、期間満了後に借地権を存続させるには更新が必要となる(もっとも、借地契約において、地主が留保された解約権を行使することはできない(11))。

・民法では合意更新(民604Ⅱ参照、もっとも借地借家法は民604不適用(同法29Ⅱ)。)および法定更新(619Ⅰ、なお使用及び「収益」を継続した場合)であるが、借地法では合意更新(5参照)と法定更新(4、6参照)があり、法定更新は解約申入れ事由ではない。

・法定更新には、①借地権者の請求による場合(4)、②期間満了後の借地の使用継続による場合(6)がある。←期間満了すれば借地権が消滅するのが原則であるため、法定更新の際にも借地人の積極的な行動が必要となる。

・契約更新されない場合には、建物買取請求権行使可(4Ⅱ)。

・契約の更新に関する規定は、現在でも適用される(借地借家法附則6)。

<借地人の請求による場合(4Ⅰ)>
・建物が存在する場合に限る。

・もっとも、契約期間中に借地上の建物が滅失し、借地人が再築しようとしたのに地主がこれを禁止し、土地明渡しの調停を申し立て、調停係属中に期間満了した場合に、更新請求権を否定することは信義則上許されない(最判昭52・3・15)。

・地主が遅滞なく異議を述べなければ法定更新され、法定存続期間は堅固建物30年、非堅固20年(4Ⅲ・5Ⅰ、なお、4Ⅲは5Ⅱを準用していないためこれより長い期間を定められない。→借地借家法との違い。)。この異議には正当事由が必要。→正当事由の解釈については、新法による(借地借家法附則12)。

<期間満了後の借地の使用継続による場合(6Ⅰ)>
 ・建物の存在は要件ではない。←借地借家法は建物の存在する場合に限る。

・債務不履行に基づく解除の場合には6Ⅰは適用されない(最判昭49・7・12)。→このため借地借家法は「存続期間満了の場合」とした(借地借家法5Ⅱ)。

・地主が遅滞なく異議を述べなければ法定更新され、法定存続期間は堅固建物30年、非堅固20年(6Ⅰ2文・5Ⅰ、なお、6Ⅰは5Ⅱを準用していないためこれより長い期間を定められない。→借地借家法との違い)。建物があるとにきはこの異議には正当事由が必要。

民法第604条 (省略)
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。
民法第618条  当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
民法第619条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。
2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。
第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
2 (省略)
3 第5条第1項ノ規定ハ第1項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス 此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
2 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ
第6条 借地権者カ借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
2 (省略)
第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス
借地借家法附則第6条  この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。

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2016年4月4日月曜日

<旧法の借地契約3>存続期間(2~7、借地借家法附則5~7)

大阪府豊中市の司法書士の伊東です。

さて、借地法の話が続きます。

<存続期間>
・民法では、期間の定めがなくても存続期間は20年を超えることができず、20年を超える期間を定めても20年となる(民604Ⅰ)。更新の際も同様(民604Ⅱ)→存続期間の上限を定めたにすぎず、存続期間を法定しているわけではない。

・借地法では、期間の定めのない契約であっても存続期間が法定され(2Ⅰ本)、全ての契約は期間の定めのある契約となる。つまり、借地契約には民法617条の適用がなく、自由に解約申入れをすることができない。

・借地契約の存続期間は借地上に築造する建物の種類(堅固の建物か否か)により異にしている。

・堅固の建物(堅固建物)として、石造、土造、煉瓦造又はこれに類する建物(2)をあげており、今日的には、鉄筋・鉄骨コンクリート造の建物がその代表的なもの。その他の建物(非堅固建物)とは、一般的に木造をいい、軽量鉄骨・鉄筋造の建物もこれに含まれる(実務解説借地借家法p.23)。

・借地契約に際し、建物の種類及び構造を定めなかったときは、非堅固建物所有を目的とするとみなされる(3)。

・契約で堅固建物所有30年以上と非堅固建物所有20年以上の存続期間を定めることができる(上限なし。2Ⅱ)。

・2Ⅱの期間より短い期間の契約は法定存続期間となる(最判昭44・11・26)

・存続期間の定めのない場合、法定存続期間は、堅固建物所有60年、非堅固建物所有30年(2Ⅰ本)

・契約更新後の存続期間は、法定更新・合意更新とも建物の種類により30年と20年(合意更新につき5Ⅰ1文、法定更新につき4Ⅲ・5Ⅰ(更新請求)、6Ⅰ2文・5Ⅰ(使用継続))。もっとも、合意更新の場合、合意でこれより長い期間とすることもできる(5Ⅱ)。

・契約の更新に関する規定は現在でも適用される(借地借家法附則6)。

<建物朽廃による借地権の消滅>
・存続期間内に借地上の建物が滅失しても借地権は消滅しないのが原則。

・もっとも、法定存続期間(法定更新の場合を含む)の満了前に建物が朽廃すると借地権は消滅する(最初の法定存続期間につき2Ⅰ但、合意更新につき5Ⅰ2文・2Ⅰ但、法定更新につき4Ⅲ・5Ⅰ及び6Ⅰ2文・5Ⅰ)

・「建物の朽廃」とは、時の経過によって、建物の使用資材が腐朽、損傷し、全体的に観察して、もはや建物としての社会的経済的効用を失ったとみられる場合(最判昭35・3・22)

・大規模修繕が加えられている場合は、当初の建物について当該修繕がなされなかった場合を想定して朽廃の有無を判断(最判昭42・9・21)

・大規模修繕後に(法定)更新があった場合、更新時の建物の状況を前提として朽廃の有無を判断(最判昭47・2・22)

・建物の朽廃による借地権消滅の規定は現在も適用される(借地借家法附則5)

<建物滅失後の再築による期間の延長(7)>
・建物滅失しても借地権は消滅せず、また、借地人は、土地所有者の承諾なく自由に建物を再築できるのが原則。

・もっとも、建物の種類、構造、規模、用途について借地条件が定められている場合に、これと異なる建物を再築するには地主の同意必要である。

・また、増改築制限特約ある場合は、再築には地主の承諾必要である。

・ 存続期間満了前に建物が滅失した場合において(但し、法定存続期間に建物朽廃すれば借地権消滅。)、残存期間を超えて存続する建物 を再築することに地主が遅滞なく異議を述べなければ、滅失の日から堅固建物の再築の場合30年、非堅固20年存続期間延長し、合意によりこれより長くすることもできる(7、借地借家法は地主の承諾が必要。)。

・建物の滅失とは、自然的であっても人工的であっても、また、借地人が任意に取り壊したか否かにかかわらず、建物が滅失した場合の一切の場合をいう(最判昭38・5・21)。

・この異議に再築を阻止する効力はないが、従前の期間満了時における更新拒絶の際の正当事由の判断にあたり考慮される。

・再築にあたり、存続期間を超えて存続する建物を建築しない旨の特約は無効(最判昭33・1・23)。

・この規定は現在でも適用される(借地借家法附則7Ⅰ)。

・なお、借地借家法では、契約更新後の期間に建物滅失した場合、地主は借地契約の解約申入れができるが(借地借家法8)、この規定は、旧法の借地契約には適用されない(借地借家法附則7Ⅱ)。

第604条  賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。
2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。 第617条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 一年
二  建物の賃貸借 三箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 一日
2  (省略)

第2条 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス 但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
2 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付30年以上、其ノ他ノ建物ニ付20年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス
第3条 契約ヲ以テ借地権ヲ設定スル場合ニ於テ建物ノ種類及構造ヲ定メサルトキハ借地権ハ堅固ノ建物以外ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノト看做ス
第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
2 (省略)
3 第5条第1項ノ規定ハ第1項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス 此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
2 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ
第6条 借地権者カ借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
2 (省略)
第7条 借地権ノ消滅前建物カ滅失シタル場合ニ於テ残存期間ヲ超エテ存続スヘキ建物ノ築造ニ対シ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ借地権ハ建物滅失ノ日ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年間、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年間存続ス 但シ残存期間之ヨリ長キトキハ其ノ期間ニ依ル
借地借家法附則第5条  この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による。
借地借家法附則第6条  この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。
借地借家法附則第7条  この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の滅失後の建物の築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。
2  第8条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。

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2016年4月3日日曜日

<旧法の借地契約2>借地権の対抗力(建保1、借地借家法附則4、8)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

続いて、借地権の対抗力のお話しです。

<借地権の対抗力>
・地上権、賃借権は登記をすれば第三者に対抗できる(民177、605)が、賃借権には登記請求権がない(大判大10・7・11)。→建物の登記があれば借地権を第三者に対抗できるとした(建保法1、なお借地借家法10)。

・現在でも対抗力あり(借地借家法附則4条)。

・建物の登記は表示登記で足りる(最判昭50・2・13)

・建物滅失した場合、建物の登記の効力失われ、対抗力は認められなくなるのが原則であるが、借地借家法には建物滅失の場合の対抗力付与の方法あり(借地借家法10Ⅱ)、これは旧法の借地契約であっても、借地借家法施行後に滅失した建物に適用される(借地借家法附則8の反対解釈)。

・建保法1条の対抗要件を備えていても、借地上建物の競落人は、借地権の譲渡を土地所有者に対抗できない(大判昭7・3・7)。


民法第177条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
民法第605条  不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
建物保護二関スル法律第1条 建物ノ所有ヲ目的トスル地上権又ハ土地ノ賃借権ニ因リ地上権者又ハ土地ノ賃借人カ其ノ土地ノ上ニ登記シタル建物ヲ有スルトキハ地上権又ハ土地ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得

借地借家法附則第4条  この法律の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、附則第2条の規定による廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力を妨げない。
借地借家法第10条  (省略)
2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
3  (省略)
4  (省略)
借地借家法附則第8条  第10条第2項の規定は、この法律の施行前に借地権の目的である土地の上の建物の滅失があった場合には、適用しない。

2016年4月2日土曜日

<旧法の借地契約1>借地法の対象(1、9、借地借家法附則2、4)

 大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

 借地借家法の施行により、建物保護に関する法律、借地法及び借家法は廃止され(借地借家法附則2)、借地借家法附則に特別の定めある場合を除き、法施行前に生じた事項にも遡及して借地借家法が適用されます(借地借家法附則4本文)。もっとも、廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力は妨げられません(借地借家法附則4但)。

 したがって、旧法時代の借地契約に出くわした場合、現在でも認めらる借地法の効力と、特別の定めがあり適用される借地法の規定について知っておく必要があります。

 それでは、旧法時代の借地契約の勉強を始めましょう。

借地借家法附則第2条  次に掲げる法律は、廃止する。
1 建物保護に関する法律
2 借地法
3 借家法
借地借家法附則第4条  この法律の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、附則第2条の規定による廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力を妨げない。



<借地法の対象>

・借地借家法と同様に、建物所有を目的とする地上権と土地の賃借権が対象である(1、詳しくは借地借家法1)。

・建物所有を目的としていればよく、現に建物が存する必要はない(1、詳しくは借地借家法1)。

・借地の一時使用の場合、借地法の一部の規定(2~8ノ2)は適用されない(9、詳しくは借地借家法25)。

第1条 本法ニ於テ借地権ト称スルハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上権及賃借権ヲ謂フ
第9条 第2条乃至前条ノ規定ハ臨時設備其ノ他一時使用ノ為借地権ヲ設定シタルコト明ナル場合ニハ之ヲ適用セス

2016年4月1日金曜日

沿革

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

私の事務所では、借地借家関係の相談をこれまで受けてきていますが、借地借家法は司法書士試験の受験科目ではない上に奥が深く、これまでずっとどこかのタイミングで体系的に勉強をしたいと考えていました。

そこで今回、このブログを書くことをきっかけに借地借家法について体系的に理解を深めて行くことにします。

それでは、始めましょう。

<借地借家法の沿革>
・明治23制定された旧民法(ボアソナード民法)では、不動産利用権として用益権(他人の所有物をその用法に従い、その物の性質本体を変えることなく、有期で使用及び収益することができる権利)、使用権(使用者及びその家族の需要の程度に限られた用益権)、住居権(建物の使用権)、賃借権、永借権、地上権が規定されており、賃借権に物権性を認め、その譲渡の自由を保障した画期的なものであったが、施行は延期。

・明治31・7・16明治民法施行、建物所有のための土地利用権には物権である地上権と債権である賃借権の2本立て、建物利用関係は賃借権のみ。地上権も賃借権も登記がなければ第三者に対抗できないと明文で規定された(明治民法177、605)。

・日清・日露戦争(明治27~38)、地租改正や都市部への人口流入の影響で都市部で地代の値上げが恒常化。これに応じない借地人に対し地震売買(登記がなければ賃借権を対抗できないことを利用した借地人の排除)が横行。明治42年「建物保護ニ関スル法律(建物保護法)」が成立し、建物の登記をもって借地権の第三者対抗力を認める。

・大正10年4月8日、借地法、借家法成立、東京・大阪の一部に施行。昭和14年大阪、兵庫、京都等の府県、昭和16年改正と同時に全国に適用。

・建物保護法や借家法で対抗力を認めても、期間満了の際の更新が保証されていないと、借地人・借家人の地位は不安定。そこで、昭和16年改正、更新拒絶や解約申入に「正当ノ事由」が必要となる。

・昭和41年改正
 非堅固から堅固建物への借地条件変更及び増改築、建物譲渡に伴う土地賃借権の譲渡・転貸、建物競売に伴う敷地借地権の譲渡につき裁判所の代諾許可制度の創設。
 地代家賃増減請求中の地代家賃の処理についての規定。
 相続人不存在の場合の借家権の帰属

・昭和60年12月31日地代家賃統制令失効。

・平成4年8月1日、借地借家法施行。
 (借地関係)
  法定存続期間は、堅固(借地法60年)・非堅固(30年)にかかわらず、30年。最初の更新後は20年、その後の更新後は10年。
  法定更新は、すべて建物が存する場合に限る。
  法定存続期間中の建物朽廃によっても借地権は存続。→再築可能
  建物再築の際、土地所有者の承諾あれば、存続期間伸長(借地法では遅滞なく異議)。
  更新後の承諾なき再築は存続期間中の解約原因となる。
  立退料が正当事由の一要素となる。
  更新のない借地権として、定期借地権、建物譲渡特約付借地権及び事業用借地権の新設。
  自己借地権の創設。
  建物滅失の際の対抗力の付与方法。
 (借家関係)
  更新のない借家権として、賃貸人の不在期間及び取り壊し予定の建物の賃貸借
  造作買取請求権を任意規定に。
  建物の利用行為について「建物の使用及び収益」としてたものを「建物の使用」に。
 (借地借家共通)
  地代・家賃増減請求を調停前置に。
  借地借家法附則に特別の定めある場合を除き、同法施行前に生じた事項にも適用されるが、廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力は妨げられない。

・平成12年3月1日施行「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」。
  賃貸人の不在期間の賃貸借を、定期建物賃貸借に改正。
  民法604条の建物賃貸借への不適用

民法第604条  賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。
2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。
・平成13年制定「高齢者の住居の安定確保に関する法律」。終身建物賃貸借を認める。
・平成20年1月1日施行「借地借家法の一部を改正する法律」。
  事業用借地権の存続期間を10年以上30年未満とする。
  事業用定期借地権を新設。存続期間を30年以上50年未満とする。

未だ借地法・借家法の時代の契約が残っていることも多くありますので、借地借家法だけでなく借地法・借家法の勉強も必須です。

次回からは、まず借地法について見て行くことにしましょう。

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