2016年7月1日金曜日

<借地借家法14>借家権の対象(1、40、借家8)

 大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

 さて、借地借家法の借家権についてみていきましょう。

 なお、借地借家法の施行により、借家法は廃止され(借地借家法附則2)、借地借家法附則に特別の定めある場合を除き、法施行前に生じた事項にも遡及して借地借家法が適用されます(借地借家法附則4本文)。もっとも、廃止前の借家法の規定により生じた効力は妨げられません(借地借家法附則4但)。

 したがって、旧法時代の借家契約に出くわした場合、現在でも認めらる借家法の効力と、特別の定めがあり適用される借家法の規定について知っておく必要があります。

 もっとも、借家法から借地借家法への改正の際、条文の変更がほとんどありませんので、特別の定め(つまり、借地借家法附則)も借地法の場合と違ってほとんどありません。そのため、旧借家法は特に必要のない限り条文の紹介に留めます。

<借家権の対象>
・借家権は、借家法と同じく、建物の賃貸借を対象とし(1)、使用貸借には適用されない。

・1条後段にいう建物は、土地の上に定着し、土台、柱、屋根、障壁登を有する構造物で、居住、営業等の用に供されるものをいい、建物の一部であっても、障壁等によって他の部分と区画され、独占的、排他的支配が可能な構造、規模を有する場合も含む。

・一時使用の借家権の場合、第3章借家の規定は全部不適用(40)

・一時使用のための賃貸借といえるためには必ずしもその期間の長短だけを基準として決せられるべきものではなく、賃貸借の目的、動機、その他の諸般の事情から、該賃貸借契約を短期間内に限り存続させる趣旨のものであることが、客観的に判断される場合であればよいのであって、その期間が一年未満の場合でなければならないものではない(最判昭36・10・10、裁判上の和解につき最判昭43・1・25も同旨)。

・転勤するまでの一時使用のための借家契約が更新され、約7年半以上を経過した事案でも一時使用のための借家契約と認めた(最判昭41・10・27)。

・公営住宅の賃貸借にも原則として借地借家法が適用される(最判平2・6・22(借家法1ノ2の解約を認めた事例)、他方、最判昭62・2・13(建替事業のための明渡請求に借地法1ノ2の要件具備を要しないとした事例)。

・社宅について、使用料が社宅使用の対価と認められない場合に、借家法1ノ2の適用が認められなかった事例がある(最判昭29・11・16)。

・サブリース契約にも種々のものがあり、一概に借地借家法が適用されるとも言えない(cf.最判平15・10・21)。

・一定期間賃料を無償とする契約(フリーレンタル)は、基本契約が賃貸借契約であり、無償期間内も借地借家法が適用される。

第1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
第40条  この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
附則第2条  次に掲げる法律は、廃止する。
1 建物保護に関する法律
2 借地法
3 借家法

附則第4条  この法律の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、附則第2条の規定による廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力を妨げない。
借家法第8条 本法ハ一時使用ノ為建物ノ賃貸借ヲ為シタルコト明ナル場合ニハ之ヲ適用セス


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