2016年7月6日水曜日

<借地借家法19>賃貸人・賃借人の地位の移転(36、借家法7ノ2))

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

では、続けましょう。

<賃貸人の地位の移転>
・所有者が賃貸人である場合、建物所有権が移転すると、賃貸人の地位もこれに伴って新所有者に承継されるのが原則(∵新所有者と賃借人の関係は、対抗関係。)。

・建物所有権が移転しても、登記がなければ新所有者は賃貸人の地位を賃借人に対抗できない(最判昭49・3・19)。

・建物所有権の移転及び賃貸人の地位の移転には、賃借人の承諾(民467Ⅰ参照)は不要。

・この場合、敷金は、未払賃料に当然に充当され、残額が新賃貸人に承継される(最判昭44・7・17)。

・賃貸人が死亡した場合、建物の相続人または受遺者が賃貸人の地位を承継する。

<賃借人の地位の移転>
・賃借人の地位の移転には、これを可能とする特約(譲渡権利付建物賃貸借)がない限り、賃貸人の承諾が必要であり、承諾なければ賃貸人に対して効力を生じない(民612Ⅰ)。承諾ない場合は、解除原因となる(民612Ⅱ)。

・賃借人が死亡した場合、相続人または受遺者が賃借人の地位を承継する(最高裁:昭和36年12月22日、最高裁:昭和42年4月28日)。←使用貸借の場合は終了する(民599)こととの違い。

・居住用建物の賃借人が相続人なくして死亡した場合、内縁の夫婦関係又は事実上の養親子関係にあった同居者は、他に相続人がいない場合のみ、賃借人の権利義務を承継し(36Ⅰ本)、敷金返還請求権や未払賃料支払債務など建物賃貸借関係に基づき生じた債権、債務は賃借人の権利義務を承継した同居者に帰属する(36Ⅱ)。

・賃借人に相続人がいないことを知った時から1か月以内に反対の意思を表示したときは、承継されない(36Ⅰ但)。この場合、賃貸人と新たな賃貸借契約を締結しない限り、同居人は建物明渡義務を負う。

民法第612条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
第36条  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2  前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。
借家法第7条ノ2 居住ノ用ニ供スル建物ノ賃借人ガ相続人ナクシテ死亡シタル場合ニ於テ其ノ当時婚姻又ハ縁組ノ届出ヲ為ササルモ賃借人ト事実上夫婦又ハ親子ト同様ノ関係ニ在リタル同居者アルトキハ其ノ者ハ賃借人ノ権利義務ヲ承継ス 但シ相続人ナクシテ死亡シタルコトヲ知リタル後1月内ニ賃貸人ニ対シ反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
2 前項本文ノ場合ニ於テハ建物ノ賃貸借関係ニ基キ生ジタル債権又ハ債務ハ同項ノ規定ニ依リ賃借人ノ権利義務ヲ承継シタル者ニ帰属ス

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大阪府豊中市千成町三丁目9番1号
伊東司法書士事務所
司法書士 伊東弘嗣
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