2016年5月6日金曜日

<借地借家法6>普通借地権の正当の事由(4~6、28、35)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

正当の事由については、かなり深い論点で、また借地契約と借家契約で異なる部分もあるので混同しないで理解する必要がありますね。

<正当の事由(普通借地権)>
・借地借家法の規定により、借地契約は全て期間の定めのある契約となるため、契約期間満了により借地契約は消滅するのが原則である。期間満了後も借地権を存続させるためには、契約の更新が必要であり、借地借家法では、合意更新(4)と法定更新(5)の規定が設けられている。

・法定更新の場合、地主は異議主張(5Ⅰ・Ⅱ)できるが、この異議には「正当の事由」が必要である(6)。

・借地法では、「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当の事由」とされていたが、借地借家法では、「借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由の有無を判断するものとされた。
 すなわち、正当の事由は、まず、地主だけではなく借地人の土地の使用の必要性を考慮するほか、借地に関する従前の経過(契約締結の経緯、借地人の債務の履行状況、当事者間の信頼関係等)、土地の利用状況(借地全体に対する建物の敷地面積の割合の程度、建物の残存耐用年数等建物の状況、建物の再築の可能性の有無・程度等)並びに地主が申出た立退料等を考慮して、正当の事由の有無を判断するものとされた。

・立退料の申し出は事実審の口頭弁論終結時まで(最判平6・10・25)

・立退料と引換えに明け渡し請求を認容する判決ができる(借家につき最判昭38・3・1、最判昭46・11・25など)

・家主が申し出た立退料の額と格段の相違のない範囲内で裁判所が決定する額の立退料ならば、家主がその金額を支払う意思を表明して、その立退料の支払と引換えに家屋の立退きを求めている場合には、家主が明示した立退料の額を超える立退料の支払いと引換えに立退き要求を認容することができる(最判昭46・11・25)

・借地人が賃貸する建物の借家人の事情は、特段の事情のない限り、借地人側の事情として斟酌することは許されない(最判昭58・1・20)→借地上の建物の賃借人は、35により保護される。

<正当の事由(借家権)>
・一方、借家契約は期間の定めのある契約と期間の定めのない契約がある。(→未脱稿)


第4条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第5条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
第6条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

第35条  借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2  前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。


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