2016年4月7日木曜日

<旧法の借地契約6>契約更新されない場合の建物買取請求権(4Ⅱ、借地借家法附則9条)

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

では、借地契約に特有の建物買取請求権についてみていきましょう。

<契約更新されない場合の建物買取請求権(4Ⅱ)>
・存続期間が満了し、契約が合意更新されず、また、借地権者の更新請求又は土地の使用継続に対する地主の異議に正当事由(但し、土地の使用継続の場合は建物がなければ正当事由は不要(6Ⅱ))が認められれば借地権は期間満了により消滅する(4Ⅰ、6Ⅰ)。
この場合、建物収去・土地明渡(民269、616・598)が原則のところ、建物買取請求権を行使できる(4Ⅱ)。

・債務不履行解除の場合は建物買取請求権は認められない(最判昭35・2・9)。
もっとも、借地借家法では「存続期間の満了」の場合に限定され(同法13Ⅰ)、これは旧法の借地契約にも適用される(同法附則9Ⅰ反対解釈)。

・地主への意思表示で当然に売買契約が成立し、所有権移転義務と代金支払義務は同時履行(大判昭7・1・26)。→代金支払いまでは借地人は建物の引き渡しを拒むことができるが、地主に対し賃料相当損害金を支払わなければならない(最判昭35・9・20)。

・建物収去土地明渡認容判決確定後においても請求可(最判昭52・6・20)←時機に遅れたものではない。

・借地権消滅後10年で時効(最判昭42・7・20)

・借地権消滅後の建物買受人は建物買取請求権を有さない(大判昭16・6・20)

・建物の時価とは、建物が現存するままの状態における価格をいい、借地権価格は含まれないため、一般の建物価格に比べ低額となる。もっとも、建物の存在する場所的環境(裁判実務上借地権価格の20~30%)は参酌される(最判昭35・12・20)

・建物に抵当権が設定されていても建物の時価は減額されるべきではない(最判昭39・2・4)

・建物の時価の算定に当たっては、建物賃貸借の存在は当然に考慮される。

民法第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。
民法第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
2 借地権者ハ契約ノ更新ナキ場合ニ於テハ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
3 (省略)
第6条 借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
2 前項ノ場合ニ於テ建物アルトキハ土地所有ハ第4条第1項但書ニ規定スル事由アルニ非サレハ異議ヲ述フルコトヲ得ス
第10条 第三者カ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ取得シタル場合ニ於テ賃貸人カ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セサルトキハ賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
借地借家法第13条  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2  前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3  前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。
借地借家法附則第9条  第13条第2項の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。
2  第13条第3項の規定は、この法律の施行前に設定された転借地権については、適用しない。


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